桃田賢斗、東京五輪確実に…選考レース圏外の可能性消滅

引用元:スポーツ報知
桃田賢斗、東京五輪確実に…選考レース圏外の可能性消滅

◆バドミントン ワールドツアーファイナル第1日 ▽男子シングルス第1戦 桃田2―0王子維(11日、中国・広州)

 【広州(中国)11日=細野友司】男子シングルスで世界ランク1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が、20年東京五輪代表入りすることが確実となった。1次リーグ初戦で、王子維(台湾)に2―0で快勝。今後敗退しても8強相当の五輪レースランキングポイントを得ることになり、来年4月末までのレース期間で五輪圏外の日本勢3番手に落ちる可能性が消えた。

 圧倒的な強さは、形になった。世界19位に快勝発進した桃田が、レース終了まで4か月以上を残して東京五輪切符を手中に収めた。試合後に報道陣に心境を問われると「知らなかった。ただ、そこ(出場)が目標ではない。まずは今大会も、自分らしく見ている人を勇気づけられるようにしたい」と、静かにうなずいた。

 攻撃力をテーマに掲げた今季。国際大会10勝、世界選手権は2連覇し、BWF(世界連盟)男子最優秀選手にも選ばれた。「多くの方にサポートしていただいた結果。これで満足せずに恩返しを続けたい」。男子代表の中西洋介コーチも「配球をバランスよく打ち始めて、相手もどこを待ったら良いか分からない。それも多く勝てた要因」とたたえる。

 出場確実だったリオ五輪は、違法賭博問題による出場停止で棒に振った。1か月の謹慎期間を過ごした香川の実家では「怖くて外に出られなかった。家の外に普段いない車が止まっていたり」。“周囲の目”は、17年5月に実戦復帰しても気になった。試合中、シャトルの渡し方が雑になっていないか。「(試合と)違うことばかり気を取られた」。休日に仲間と食事に行っても「あいつ普通に飲んでるじゃん、と思われるのでは」と気は晴れなかった。

 18年1月の代表復帰が転機。一時は閉ざされかけたキャリアを歩める幸せを感じ、眠っていた闘争心も徐々に呼び起こされた。「皆のプロフェッショナルな取り組み方に引っ張られ、いつの間にか勝負に貪欲になっていった」。同年夏の世界選手権(中国・南京)で日本勢男子シングルス初優勝。「もう一度、チャンスをくれた日本の方々へ感謝の気持ちがあった」と、ユニホームの日の丸にキスをした。そして来夏、最高の恩返しの舞台へたどり着いた。

 4年前。今大会前身のスーパーシリーズファイナルを制し、賞金8万ドル(当時約1000万円)の使い道に「子供たちにバドミントンでも夢が与えられるように、ど派手に何か使いたい」と言った。今は違う。夢を与えるのは、ひたむきに羽根を追う姿だと知っている。「ベストの力を出して、一人でも多くの人に感動を与えたい」。何を成し遂げるか、背中で示すだけだ。

 ◆男子シングルスの五輪代表選考 期間は19年4月末~20年4月末。国際大会の成績上位10大会分のポイントで算出するランキングで決める。国・地域別の最大枠は2で、2枠を得るには2人ともに16位以内に入ることが条件。桃田は最新の10日付で、8万9568点で全体首位を独走。今大会では、最低でも6600点を加算することが決まった。今後ポイントを一切加算できなくても17位以下に落ちる可能性はなく、10位で日本勢2番手の常山幹太(トナミ運輸)、18位で3番手の西本拳太(同)の両方に抜かれて圏外の日本勢3番手に下がる可能性も消滅。五輪切符確実となった。 報知新聞社