桃田賢斗、眼窩底骨折で緊急手術「シャトルが二重に見える」

引用元:スポーツ報知

 先月のマレーシア遠征中に交通事故に遭ったバドミントン男子シングルスの桃田賢斗(25)=NTT東日本=が、右目の眼窩(がんか)底骨折と診断され、8日に手術を受けたことが分かった。所属チームが発表した。担当医によれば、全治は3か月。交通事故からの復帰戦として出場を予定していた3月の全英オープン(OP)は回避し、実戦復帰もずれ込む見通しとなった。最有力候補となっている20年東京五輪金メダル獲得へ、暗雲が垂れ込めた。

 東京五輪の金メダル最有力候補が、さらなる試練に見舞われた。先月にマレーシア・クアラルンプールで交通事故に遭って顔面3か所に裂傷を負った桃田が、右眼窩底を骨折していたことが判明した。7日に専門の病院で精密検査を行って明らかになり、この日手術を受けた。日本代表の朴柱奉ヘッドコーチ(HC、55)は日本協会を通じ「今回の事は驚いております。先ほど、結果を所属チームから聞いてひと安心しております」と率直な心持ちを明かした。

 事故からの再起に挑む桃田は「1日も早くみなさまの前でプレーし感謝の気持ちを表現できるよう、まずは一生懸命練習を頑張ります」と、今月3日に代表合宿へ合流。4日に練習再開し「シャトルが二重に見える」と申し出た。関係者によれば、帰国後の精密検査で目については「所見なし」とされたものの、患部は診断が難しい箇所。物がぼやけるなどの症状があったため「経過観察」とされていた。練習で実際に羽根を打ってみて初めて違和感がはっきりし、再検査を経て骨折が明らかになったという。

 全治3か月。当初は来月中旬の全英OPとしていた実戦復帰も、大幅にずれ込む見通しとなった。5月以降の主要大会は、トマス杯(5月16~24日、デンマーク)やインドネシアOP(6月16~21日)など。4月26日までの成績で決まる東京五輪切符(38人出場)は既に確実としているが、欠場期間が4か月以上に及ぶことで、実戦勘やスタミナ面の影響が懸念される。18年9月から世界ランク1位をキープしているが、他選手に逆転を許す可能性も出てくる。朴HCも「今後に関しては手術後の経過を見て決めていく事になると思いますが、焦らず回復に専念してほしいと思います」と切に願った。

 桃田は手術後、約1週間の入院で治療に努める予定。退院後はジョギングなど、患部に影響のない範囲で順次練習を再開していく見通しという。男子シングルスでは、17年世界選手権王者のV・アクセルセン(デンマーク)、18年世界選手権銀メダルの石宇奇(中国)がともに昨季負傷で精彩を欠くなど、桃田以外の“絶対王者”候補は見当たらないが、金メダルへの道が、険しくなったのは事実だ。 報知新聞社