桃田「シャトルが二重に見える」 まさかの骨折判明で緊急手術/バドミントン

桃田「シャトルが二重に見える」 まさかの骨折判明で緊急手術/バドミントン

 遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれて負傷したバドミントン男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(25)が、右目の眼窩底(がんかてい)骨折と診断され、8日に手術を受けたことが分かった。所属先のNTT東日本が発表した。全治は約3カ月の見通しで、復帰戦に予定していた3月中旬の全英オープン(バーミンガム)は出場を見送る。順調に回復していたかに思えた日本のエースが一転、東京五輪での金メダル獲得に暗雲が漂う事態となった。

 またも試練が襲った。遠征先のマレーシアで1月13日に交通事故に遭った桃田は、静養を経て今月3日から東京都内での日本代表合宿に参加。4日に事故後初めて本格的な練習を行った際、右目に違和感を覚えた。

 専門病院で目に特化した精密検査を7日に受け、右目の眼窩底が骨折していることが判明。事故が影響しているとみられる。8日に手術を受けて無事終了したが、骨折を知った当初は動揺する様子を見せていたという。全治は約3カ月の見通し。1週間ほど入院する予定だ。

 「心身の回復に努め、1日も早く元気なプレーをお見せし、支えてくださっているみなさまに恩返しをしていきたい」

 マレーシアから帰国直後の精密検査では顔面3カ所の裂傷と全身打撲以外の異常は見つからず、退院時に所属先を通じ、こうコメントしていた。

 順調に復帰への道を歩んでいるように思われていた矢先の骨折の判明。ラケットを持って練習する中で、桃田は「シャトルが二重に見える」などの違和感を訴えたという。視力は2・0だが、今回のけがにより低下があれば、競技に影響することも考えられる。

 復帰戦に見据えていた3月中旬の全英オープン(バーミンガム)は参加を見送る。1899年に第1回が開催された伝統の大会で、前回大会で日本男子シングルス初の優勝を果たした。連覇もかかる重要な舞台への出場は、閉ざされることになった。

 日本代表の朴柱奉監督(55)は「今回のことは驚いております。先ほど、結果を所属チームから聞いて一安心しております。今後に関しては手術後の経過を見て決めていくことになると思いますが、焦らず回復に専念してほしいと思います」と日本協会を通じてコメントした。

 退院後は軽いジョギングができる見込みだが、本格的な練習再開の時期は見通せない。全治3カ月となれば約4カ月間、実戦から遠ざかることになる。すでに東京五輪代表を確実にしているが、試合勘を大事にするタイプの選手だけにその影響は計り知れない。

 5月16日開幕の国・地域別対抗戦、男子トマス杯(デンマーク・オーフス)で復帰できたとしても、五輪までの実戦の場は限られている。試合勘を養えるかどうか不安は大きく、精神面のダメージも懸念される。金メダルが期待される桃田にとって、あまりにも過酷な現実だ。