新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、3月1日の東京マラソンの主催者は17日、今年の大会を3万8000人の一般ランナー抜きで行うと発表した。車いすを含む各部門のエリート選手計206人のみの出場で実施する。参加予定だった一般ランナーには1万6200円の参加料は返金せずに、来年大会の出場権を与えることとした。
国内最大規模のランナーの祭典にも、感染拡大の影響が及んだ。レース2週間前のこの日、主催する東京マラソン財団は一般ランナー抜きでの実施を発表。規模縮小を余儀なくされた。
ランナーは待機所からスタート前、レース中など至る所で肩が触れあうほど密集。給水や食べ物の手渡しで、ボランティアと接触する機会も多く、沿道にも多くの観客が詰めかける。消毒液の配置やマスク配布などの対策を講じ、希望者だけ出走させる案もあった。だが、経路不明の感染者は続出しており、爆発的感染拡大のリスクを避けるため、今回の決定に至った。
10キロの部500人を含めた一般ランナー3万8000人の参加を取りやめ、各部門のエリート206人のみで大会を実施する。大会前日までの関連イベントは全て中止。多くのマラソン大会と同様、規約により1人1万6200円の参加料(海外選手は1万8200円)は返金しない。参加予定者は特例で来年大会の出場権をもらえるため、近年では10倍超の倍率となる抽選を回避できるが、参加料は再び支払う必要がある。
東京五輪代表選考MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ファイナルチャレンジ男子第2戦。残り1枚の代表切符を巡り、日本記録保持者の大迫傑(28)=ナイキ=や同前保持者・設楽悠太(28)=ホンダ=らが出場を予定する。代表選考の大一番を全面中止すれば混乱は必至だったが、レースを行えば一定のスポンサー料や放映権料を確保することも可能になる。
もともと実施予定だった東京五輪のマラソンと似たコースで、それが今大会に一般ランナーを引きつけ、世界からも注目される点にもなっていた。猛暑対策としての五輪コースの札幌移転に続く、今回の決定に「二重の不運が重なった」と嘆く都の関係者もいる。
「東京」を冠したレースの規模縮小で、夏の五輪本番への影響を懸念する声も上がり始めることになりそうだ。同五輪・パラリンピック組織委は世界保健機関(WHO)と連携し、情報共有、発信に努める方針だが、組織委幹部は「(危機感だけが強調され)早い段階で(選手の参加)辞退が続出すれば、五輪の価値を下げる。情報の伝え方は難しい」とジレンマに頭を悩ませている。
◆新型肺炎のスポーツ界への影響
▽ゴルフ 米女子ツアーでは、ホンダLPGA(20~23日、タイ・パタヤ)とHSBC女子世界選手権(27日~3月1日、シンガポール)の2試合が中止。日本勢は畑岡奈紗、渋野日向子がエントリーしていた。
▽バドミントン 国際ツアーの陵水中国マスターズ(25~3月1日)が延期。16日閉幕のアジア団体選手権(マニラ)は無観客試合で行われた。
▽テニス 男子下部ツアーが、3月に中国で組まれていた3大会を中止した。
◆東京マラソンのエリート出場資格 国内外の公認競技会で17年2月1日以降申込期日までに公認記録として男子2時間21分以内、女子2時間52分以内などの標準を突破することなどが条件。他にも日本陸連が推薦する男女競技者や招待する海外・国内男女競技者も資格を得る。今大会では男子133人(うち招待22人)、女子43人(うち招待14人)の計176人。なお、車いすの部は男子20人(うち招待9人)、女子10人(うち招待9人)の計30人。 報知新聞社
東京マラソン、コロナショックで3万8000人一般ランナー抜き…五輪選考レースは実施
引用元:スポーツ報知