桃田賢斗、事故から再起 東京五輪で「金メダルを狙っていきたい」

引用元:スポーツ報知
桃田賢斗、事故から再起 東京五輪で「金メダルを狙っていきたい」

 バドミントンの男子シングルス世界ランク1位で、今年1月にマレーシア遠征中の交通事故で右眼窩(か)底骨折を負った桃田賢斗(25)=NTT東日本=が6日、都内で会見し、20年東京五輪へ「金メダルを狙っていきたい」と宣言した。事故後、公の場で話すのは初めて。練習を再開してから、順調な復帰ステップを踏んでいることをうかがわせた。今後は五輪前哨戦となるトマス杯(5月・デンマーク)、インドネシア・オープン(6月)などに向けて、実戦復帰時期を模索する。

 穏やかな表情の裏で、桃田は覚悟を固めていた。今年1月13日に交通事故に遭ってから53日。「今回の経験をして、今まで東京五輪は(目前の各大会の)延長線上にある大会だと思っていたけど、いろいろな方に応援してもらって、今は金メダルを狙っていきたい」と言い切った。額の裂傷こそ目立たなくなったが、眼窩底骨折の手術から1か月足らず。会見で回復中の姿を見せるとともに、自分の言葉で、しっかりと再起の到達点を示した。

 早朝4時半に起きた追突事故。「寝ていて、突然衝撃で起きた。何が起きたのかも分からなかった。ぼろぼろの状態で、(代表ヘッドコーチの)朴さんに『僕はまたバドミントンできますか』と聞いたのは覚えている」と生々しく明かした。18年9月から世界1位を守る五輪V候補大本命は、選手生命すら脅かされる不安の闇に突き落とされたが、だからこそ、思えたこともあった。「やっぱり自分にはバドミントンしかない。正直、今の時期に試合に出られないのは致命的だけど、期待してくれる人に恩返ししたい。誰もが注目する大会で結果を残し、いろいろなことを伝えられる選手になりたい」

 先月29日にチーム練習復帰。眼窩底骨折の影響で、ものが二重に見える複視のリハビリ、基礎的な羽根打ちなどを地道にこなしている。「『とにかく目をたくさん動かすことが大事』と言われた。今はもうしっかり見えているのですごく楽しいし、今はもっとうまくなりたい、上手になりたいという純粋な気持ちで練習に取り組めている」。骨折の手術後は全治3か月の診断だったが、早期復帰により「今まで以上に頑張りたい気持ちが湧いてきた。焦らず、今まで以上に強くなりたい」と思いは強くなった。

 実戦復帰は未定だが、今後は五輪前哨戦となる国・地域別対抗戦のトマス杯などが候補となる。欠場中も他選手の試合を映像でチェックするなど、できる努力は惜しまない。「今回はすごい経験をしたし、この経験をしたことによって、自分が伝えられることもたくさんあると思う。それなりの責任もあると思う。全て受け止めて、力に変えられるようなスケールの大きい選手になって、コートに戻りたい」。思いをぶつけるのは8月3日。真夏の五輪決勝の舞台だ。(細野 友司) 報知新聞社