桃田賢斗「やっぱり自分にとってバドミントンしかない」

桃田賢斗「やっぱり自分にとってバドミントンしかない」

 1月に遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれて負傷し、2月に右目眼窩(がんか)底骨折の手術を受けたバドミントン男子世界王者の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が6日、練習を再開したことを受け、都内で会見を開いた。事故以来、一連の経緯について語るのは初めてだったが、約40分間にわたって笑顔を交えた明るい表情で現状を報告し、「今回の経験でたくさんの人に激励してもらい、今は東京五輪で金メダルを狙っていきたいと思った」と意欲を明かした。以下、桃田との一問一答。

  ◇  ◇

 -一度練習に復帰した後、また手術した。

 「事故にあって次の日も二重に見える時があったが、時間がたてば視野がはっきりしてきたので大丈夫だろうと思っていた。でも練習を再開したときにずっと二重に見えるというのがあって再検査してもらった」

 -目の詳しい状況を。

 「手術前は正面はいつも通り見えるが、眼球を動かした時に物が二重に見えてしまう状況だった。術後は少しずつよくなってきた」

 -迷った中で手術。

 「正直、コートに戻って練習する時は『まだ二重に見えて打てないんじゃないか』とか『治ってないんじゃないか』とか怖さはあったが、今はしっかり見えているので、すごく楽しいし、今はもっとうまくなりたいという純粋な気持ちで取り組むことができている」

 -事故後、朴監督に「またバドミントンはできますか」と話したときの心境は。

 「自分自身すごくボロボロな状態だったし、すごく不安だったので朴監督に『僕はまたバドミントンはできますか』と聞いた」

 -今回の経験を経てバドミントンへの思いを再確認できたか。

 「やっぱり自分にとってバドミントンしかないし、いつも成長させてもらってる。バドミントンが好きな気持ちで今もこういうふうに頑張れている」

 -リハビリと練習について、今どういうことをしているか。

 「とにかく目を動かすということが大事と言われたので、気がついた時に目を動かしたり、いっぱい羽根を打ったり」

 -事故後に受け取ったメッセージの重さ。

 「ここまで大きなケガっていうのをしたことがなかったので、すごく地味で苦しいトレーニングが多いが、『またコートに戻った姿が見たいです』とか。心が折れそうな時とか、もうひと踏ん張りできる力になっている」

 -具体的にどのような激励に救われたか。

 「以前小学校に訪問させていただいた時の生徒から手紙をもらったり、SNSでも自分が尊敬しているスポーツ選手からもメッセージをいただいたり。すごく励みになった」

 -どんな桃田賢斗でコートに戻ってきてくれるか。

 「今回すごい経験をしたし、自分が伝えられることもたくさんあると思うし、責任もある。すべて受け止めて、自分の力に変えられるようなスケールの大きい選手になってコートに戻れたらいい」