桃田「東京五輪『金』本気で狙う」眉間と右目下に傷痕残る中、事故後初会見/バドミントン

桃田「東京五輪『金』本気で狙う」眉間と右目下に傷痕残る中、事故後初会見/バドミントン

 “奇跡”の金メダル狙う!! 遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれて負傷したバドミントン男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が6日、復帰に向けて東京都内で記者会見を開いた。1月13日の事故後、公の場で話すのは初めて。出場確実となっている東京五輪に向け「金メダルを狙っていきたい」と宣言した。実戦復帰の見通しは立っていないが、試練を乗り越えて“奇跡”を起こす。

 右目の下には手術痕が痛々しく残っていた。1月の交通事故後、初めて公の場で口を開いた日本のエース。グレーのジャケットにエンジのネクタイを締め、桃田はまっすぐ前を見つめた。

 「たくさんのサポートや激励の言葉をいただいた皆さまに、感謝の言葉を伝えたかった。今回の経験をしていろんな方に応援をしてもらって、今は東京五輪、金メダルを本気で狙っていきたい」

 事故が、桃田を変えた。各大会の延長線上にあるものと位置づけていた東京五輪。だから、あえて具体的な目標は口にしてこなかった。そんな男が宣言した金メダル獲得。試練を乗り越える覚悟を決めた。

 事故の瞬間は寝ており、何が起きたのかわからない状況だったという。2月上旬の日本代表合宿で練習を再開した際、シャトルが二重に見える違和感を覚え、右目の眼窩底骨折が判明。「心が折れそうなときがあった」。先月29日に練習を再開した際は「まだ二重に見えて打てないのではないか」と恐怖が襲った。どん底からの再出発だった。

 現在、リハビリと練習を無理のない範囲で並行しておこなっているが「まだ試合ができない状態」と説明した。出場を確実としている東京五輪まで4カ月半。残された時間は多くない。「この時期に試合に出られないのは致命的。もしかしたら前みたいにプレーすることはできないかも」。体力面、試合勘…不安要素を挙げればきりがない。

 それでも、バドミントンができる喜びを感じている。「今は羽根を打つのが楽しい。焦りはない」。実戦復帰の時期は未定だが「体の切れが戻ってきている感覚はあります。納得できるくらいの精度で羽根は打てている」と手応えもある。

 先月8日に手術した右目の眼窩底骨折の全治は3カ月の見通し。今後も慎重に練習を積みながら、実戦復帰のタイミングを見定めていく。

 「今後のバドミントン界のためにも、誰もが注目する大会で結果を残して、自分がいろんなことを伝えていける選手になれたらいい」

 どん底からの金メダル。いばらの道の先には“奇跡”が待っている。