狂った金メダルの皮算用? 野口啓代「気持ちの整理が」〈週刊朝日〉

引用元:AERA dot.
狂った金メダルの皮算用? 野口啓代「気持ちの整理が」〈週刊朝日〉

 東京五輪の1年程度の延期で最も気になることの一つが、日本勢のメダルの行方だろう。

 競泳やマラソン、卓球などは、すでに代表に内定した選手を変更しない方針。柔道などいくつかの競技では、再選考の可能性もありそうだ。

 しかし、今夏に向けて調整してきた選手の運命は大きく変わることも予想される。

 陸上男子のサニブラウン・ハキーム(21)は「2021年に自分の思う形に持っていけるように、今やるべきことをやっていくだけです」、体操女子の村上茉愛(23)は「新しい目標計画を立てなければなりませんが、さらに練習を積み重ねられる時間が増えたと、全てにおいてポジティブに捉えていきたいです」などとコメントを発表した。

 スポーツライターの折山淑美さんは言う。

「1年程度の延期というあいまいな決定なので、選手は調整をどこに合わせればいいのかわからない状態です」

 テニスやバドミントン、フェンシング、ゴルフ、卓球といった世界ランキングを基に代表を選考する競技が特に影響を受けるのではとみる。「このような競技は1年前のランキング争いが終わった段階でのランキングも判断材料になるので、五輪開催時に、代表選手よりも選ばれなかった選手のほうがランキング上位にいる可能性はあります」

 一方、不調が続いていた競泳男子の萩野公介(25)や交通事故でけがをしたバドミントンの桃田賢斗(25)のように、延期を追い風にできそうな選手もいる。

 白血病で闘病中の競泳女子の池江璃花子(19)が奇跡の代表入りをする可能性については、

「さすがに厳しいでしょう。最近の写真を見ても、筋肉がかなり落ちているようです」

 重量挙げ女子の三宅宏実(34)やソフトボールの上野由岐子(37)ら、年齢的なピークが気になる選手も存在する。

「五輪で引退と宣言していたスポーツクライミング女子の野口啓代(30)も、『気持ちの整理がつかない』と言っていました。何を目標にすればいいのかわからなくなる選手は、この先も出てくるでしょうね」

 スノーボードとスケートボードの「二刀流」に挑戦中の平野歩夢(21)はどうか。

「(スケートボードに専念して)冬はやらない可能性はあるでしょうね。北京冬季五輪は東京五輪の1年後ですからね」

 延期が作り出すドラマがハッピーエンドになることを期待したい。(本誌・太田サトル)

※週刊朝日  2020年4月10日号