奥原希望 史上初の中止で中高生へどうしても伝えたい「君たちにしかできないことがある」

奥原希望 史上初の中止で中高生へどうしても伝えたい「君たちにしかできないことがある」

 バドミントン女子シングルス世界ランキング4位で16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストの奥原希望(25=太陽ホールディングス)が28日、自身のブログを更新し、中高生へメッセージを送った。新型コロナウイルス感染拡大の影響で全国中学校体育大会、全国高校総体が史上初の中止。長野県から単身で埼玉・大宮東高へ進学し、11、12年とシングルスで全国総体連覇。その後は両膝の手術を乗り越え、日本勢初のシングルス五輪メダリストとなった奥原が、競技生活のハイライトとなる舞台が消えた中高生たちの絶望、葛藤に寄り添いながら“君たちはどう生きるか”を1600の文字で問いかけた。

【 中 高 生 へ 】

インターハイ そして全国中学校体育大会

目標としている舞台が次々と失われていく今

みんなは何を考え毎日を過ごしているのかな

想像することは出来る

悔しい。 なんでこのタイミングで…

この先どうしたらいいの

せっかく乗り越えてきたのに…

積み上げてきたものを 全て知っているのは自分だけ!

どんな思いで、どんな熱量で今まで過ごしてきたのか

私に置き換えると、東京オリンピックがなくなったら

と同じになるのかな~

でもそれもなんか違うよね!

そう! 想像はできても完全な理解は得られない

当事者ではない他人がどんなに頑張って

理解しようとしても、彼ら、彼女らの気持ちを

全て理解することは出来ない。

家族や先生、コーチも それぞれの立場での想いはあっても それが子供達と同じではないと思う

しんどい時だけど 自分で考えて、

自分で解決・納得して 次に進むしか道はない

でもこんな考え方はできないだろうか?

今の中学生、高校生しか

このやり場のない悔しい思いを感じていない

僕たち、私たちしか 

この貴重な体験は出来ていない!

そうじゃない?

誰も、しよう、したいと思った経験ではないかもしれない。

でも人生ってきっとそんなもん

うまくいかないし、順風満帆な道なんてない。

毎回試練が訪れて、そのたび 神様に試されている

ただこれだけは忘れないで欲しい

今までやってきたことを 試す舞台がなくなったけど

積み上げてきたもの 仲間達と乗り越え深めてきた絆 磨き上げてきた技術、メンタル、思考 は残っている

みんなは競技をやってきて

学んだことはその競技の技術だけ??

違うよね

その競技を通じて、いろんなことを考え、

工夫しながら行動し、辛いことや苦しいことからも

逃げずに立ち向かってきたと思う

今までやってきたことは 決して無駄ではないし

これから先絶対にいきてくる

というか…

いかせるような人生を送って欲しい。

今この段階で ある程度中止になることが

先読み出来ていて気持ちの整理が終わり、

もう次の目標に向かっている仲間もきっといるだろう

コロナウィルスで悔しい思いをしたから

この先どんなウィルスが出てきても対応できるような、薬をつくれる人になりたい と思う人もいれば、

政治、経済 毎日ニュースで聞き慣れない話を耳に、

疑問に思い調べ、自分ならこうしたい!

と考えている子もいるかもしれない

今回のこの経験、感じた想いを

こんな風にプラスのエネルギーにして

明るい未来、日本を支えて欲しい。

こんな思いの子達が大きくなった時の日本は

きっと、人を思いやり、困っている人を

助け合いながら生活していくんだろうなぁ

改めて冒頭と同じ質問をする

今みんなは何を考え過ごしているのかな?

無理に前を向いて欲しいわけではない

自分の気持ちに正直に 自分の本心に耳を傾ける力も

この先絶対必要になってくる

その気持ちが仲間や、周りの人と違ったとしても、

自分が感じたことや自分の想いを否定しないで欲しい

自分がそう感じたことは事実 同じ出来事からも

いろいろな考え方、視点があるということだけ

だからこそ、これから先 頭だけで考えて

終わらせるのではなく 行動を起こし、当事者になって

物事を感じ、考えて、経験して欲しい

君たちにしかわからない ということは

君たちにしかできないことがある

この先の人生に正解はない 明日、明後日、

このGW どう過ごしたら良いのかも正解はない

自分の心と向き合い 自分の中にしかない

答えを見つけ 前に進んでいって欲しい

必ずこの経験があったから

今があると思える日が来ると思う

そう思える日がくることを 私は願っています

毎日を全力で善くなるように生きていたら、

早かれ遅かれその日は必ず来る

しんどかったら泣けばいいし 弱音も吐けばいい

そのはけ口に私がなれたらいいなぁ と思いつつ

一方的になってしまったけど 何か心に止まるきっかけになってくれたら嬉しいと思い、書きました。

中高生が 今まで同様、新たな目標に向かい

楽しい充実した日々を過ごせますように

いつかの未来でこの想いを見返してやろう!

 ◆奥原 希望(おくはら・のぞみ)1995年(平7)3月13日生まれ、長野県大町市出身の25歳。仁科台中、大宮東高、日本ユニシスを経て19年1月にプロ転向して太陽ホールディングスと契約。高2の11年に史上最年少の16歳8カ月で全日本総合選手権を初制覇。15年スーパーシリーズ・ファイナル制覇。16年リオ五輪銅メダル。17年世界選手権で日本勢初となるシングルス優勝。1メートル56、52キロ。右利き。

 《28日に五輪切符決定の予定も》バドミントンのワールドツアーは7月までの中止が決定済み。東京五輪選考レースの基になる世界ランキングも、全英オープン後に発表された3月17日付のまま凍結されている。日本代表勢は全英オープン帰国後に2週間の自宅待機を行った。本来なら今月28日発表の世界ランクで五輪出場選手が決まるはずだったが、世界バドミントン連盟が東京五輪1年延期に伴う選考方式について解決策を検討中。女子シングルスは奥原と世界ランク3位の山口茜(22=再春館製薬所)が五輪出場を確実にしていた。