自粛生活を健康に 一流の「食」情報届ける 香川真司サポートの管理栄養士

引用元:毎日新聞
自粛生活を健康に 一流の「食」情報届ける 香川真司サポートの管理栄養士

 サッカーの香川真司選手(サラゴサ)やバドミントンの桃田賢斗選手(NTT東日本)の専属管理栄養士、吉村俊亮さん(31)が、免疫力を高める食材やバランスの取れたレシピなどを、投稿サイト「note」や写真共有アプリ「インスタグラム」を通じて積極的に情報発信している。トップ選手の胃袋を熟知する立場から、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛などで十分なトレーニングができないアスリートを含む幅広い層の「食」を支えたい考えだ。

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 ◇体調に応じた「プラス一品」を紹介

 「体の不調を感じたら」「腸内環境を整えるには」――。自宅での食事の機会が増え始めた4月上旬、吉村さんは「簡単に始められて継続できることを」を前提に、両選手や自身が所属するマネジメント会社「UDN SPORTS」(東京都渋谷区)と連携したサイトに情報を掲載し始めた。コンビニやスーパーで買えて体調に応じて追加すべき「プラス一品」や、食材の栄養素や効用などのアドバイスについて記している。インスタグラムでもテレビの料理番組さながらに、調理の様子をライブ配信。5月7日夜にはサバ缶を使ったドリアを30分ほどで完成させた。たんぱく質や食物繊維、ビタミンなどバランスの良い一品に「簡単に作れそう」「おいしそう」など視聴者の反響も上々だ。

 ◇外出自粛でも免疫力アップを

 外出自粛などで活動量が落ちる中、トップアスリートに限らず重視すべき主なポイントに、①油からのエネルギー摂取量を抑える調理方法や食材を考え、体脂肪の増加を防ぐ②乳製品は1日に2回取り、緑黄色野菜の量を増やして免疫力を高める――を挙げる。

 福岡市出身の吉村さんは中学1年の時、運動誘発性の食物アレルギーを発症した。検査入院先の病院で栄養士という職業を知り、「自分と似た症状を持つ人の役に立てれば」と志した。大学では栄養科学を専攻。フィットネスクラブでのアルバイト経験から運動分野に興味を抱き、管理栄養士の国家資格を取得すると、小学生年代などのアスリートの食事面を支えたほか、少年野球チームや高校サッカー部の専属管理栄養士として働いてきた。

 ◇サッカー香川の食事をフルサポート

 「香川選手が栄養士を探している。推薦していいか」。2018年、知人の栄養士からの連絡をきっかけに、ワールドカップ(W杯)ロシア大会を間近に控えた香川選手の専属管理栄養士兼シェフになった。香川選手が当時、プレーしていたドイツに渡り、献立から調理、片付けまで食に関わる全てを担った。香川選手のリクエストで、昼食は週5回がうどん。その中で、体調や試合までの日数などに応じて、おかずの副食などを工夫して栄養バランスを整え、おいしく、見栄えの良さも意識してきた。

 新型コロナの影響で3月中旬以降、香川選手が住むスペインに行けなくなった。香川選手に提供した料理の写真を現地のシェフに送ってもらい、翌日の献立についてアドバイスするなど試行錯誤しながら過ごす日々だ。「選手の活躍は仕事のやりがいの一つ。正確な情報が集まりにくい一般のアスリートにも有益な情報を広げたい」と話している。【丹下友紀子】