バドミントン強国への第一歩だった。男子団体、初の世界制覇を振り返る。

引用元:Number Web
バドミントン強国への第一歩だった。男子団体、初の世界制覇を振り返る。

 世界ランキング1位に昇りつめた桃田賢斗をはじめ、世界でも有数の強国となったバドミントン日本男子。成績、注目度で女子に後れをとったものの、今では数々の大会で好成績を残している。

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 今日を予感させる出来事があった。

 6年前、2014年5月に開催された国際大会「トマス杯」での優勝だ。バドミントン男子の団体世界一決定戦であるこの大会で、日本が頂点に立ったのは、史上初めてのことだった。

 予兆はあった。1967年、1979年に3位になったあと、上位進出を阻まれてきた日本は、2010、2012年と2大会続けて3位、地力の向上を示していた。

優勝の行方は上田に委ねられた。
 迎えた2014年はインド・ニューデリーで5月18日に開幕した。

 日本代表はシングルスの要員として田児賢一、上田拓馬、佐々木翔、桃田。ダブルスに早川賢一・遠藤大由、平田典靖・橋本博且、園田啓悟・嘉村健士。

 3試合先取で勝利が決まる団体戦。1次リーグを首位で決勝トーナメントに進んだ日本は1回戦のフランスに3-1で勝利し、準決勝で中国と対戦する。5連覇中にあった優勝候補筆頭の強敵だ。

 だが日本は、田児がストレート勝ちをおさめると、早川・遠藤組も勝利。続く桃田も勝ち、3-0のストレートで初の決勝進出を決める。

 優勝をかけて迎えたのはマレーシアだった。

 決勝は5月25日。初戦で田児が世界ランキング1位の対戦相手に敗れたあと、 早川・遠藤組、桃田が勝利し、王手をかける。

 ただ、マレーシアも引き下がらない。続く園田・嘉村組は敗れ、2-2のタイに。優勝の行方は上田に委ねられた。

「バドミントンはメジャーなスポーツではないので」
 勝負は拮抗した。第1ゲームを先取したものの第2ゲームは逆転で失い、ファイナルゲームへ。互いに点を取り合いながら推移する。それでも上田が差をつけ、21-17で勝利。大の字に倒れ込んだ上田に選手たちが折り重なった。

 28回目を数える歴史ある大会での初優勝の瞬間だった。

 帰国時に到着した空港には、多くの取材陣がつめかけた。

 主将を務めた早川は、驚きを隠さなかった。

「こういう場面に出会えるとは」

 驚きの理由は、次の言葉にあった。

「バドミントンはメジャーなスポーツではないので」