北口榛花、メダル獲得のチャンス「増えた」 チェコ語習得を目標/陸上

北口榛花、メダル獲得のチャンス「増えた」 チェコ語習得を目標/陸上

 陸上女子やり投げの北口榛花(22)らJALに所属する選手が17日、東京都内で取材に応じ、入社1年目の日本記録保持者はチェコ語習得を目標に掲げた。1年延期された東京五輪の開幕まで、きょう18日で400日。強豪国チェコのコーチに師事するホープは語学を身に付け、フィールド種目で日本女子初のメダル獲得を目指す。

 もっと遠くへ。社会人1年目で伸び盛りの北口は、自らの投擲(とうてき)に期待してやまない。来夏の東京五輪まで、きょう18日で400日。成長の可能性は、延期で大きく膨らんだ。

 「さらにメダルを獲得できるチャンスが増えたと、(コーチと)2人で話し合いました」

 チェコのジュニア世代を率いるセケラック・コーチに昨冬から師事。2018年秋にフィンランドでの技術講習会で出合い、メールで指導を頼み込んだ。強化拠点の東京から約9000キロ離れた強豪国。今はチャットアプリで連絡を毎日取り、指示を受けている。やり取りは主に英語で、翻訳機が頼りという。

 チェコ語はロシア語と同じスラブ語系の言語で、学ぼうにも教材が見つからなかった。現在の習熟度は自己紹介ができる程度。コーチと深く意思疎通を図るため、今月末からチェコ大使館によるオンライン講座を受講し、習得を目指す。

 昨年は進化の1年だった。自己ベストを4メートル62も更新。5月に64メートル36の日本新を樹立し、10月に記録を66メートル00まで伸ばした。これは16年リオデジャネイロ五輪で銀メダル相当。「思い切りチェコに染まりました」。単身で渡った大国で、やりの引き方や下半身の使い方を見直した成果だった。

 フィールド種目で日本女子初の表彰台へ、一層の飛躍を期す20年。1月末にチェコに渡ったさなか、新型コロナウイルスが広まった。予定を早めて帰国し、外出自粛期間を経て今月1日から母校の日大で再始動。9月の全日本実業団対抗選手権(埼玉)と10月の日本選手権(新潟)に照準を定め、体力強化に励む。

 入社式はオンラインで、この日が2度目の出社だった。「(両親に)初任給で何か買おうと悩み続けて6月になりました。本当に欲しいものをあげたいと思ううちに…」。22歳の大器が、おちゃめな一面とはかけ離れたパワーで“シャンセ(チェコ語でチャンス)”をつかむ。(鈴木智紘)

★戸辺ははさみ跳び

 JAL所属で男子走り高跳び日本記録保持者の戸辺直人は、コロナ禍で拠点の筑波大が利用できず茨城県などの公営競技場で練習していると明かした。消毒が困難なことから、マットの使用は控えている。そのため背面跳びはせず、はさみ跳びで感覚を呼び起こしている。「高いものを跳び越えていなかった。久々に跳べて楽しいなと思った」と笑顔だった。

北口 榛花(きたぐち・はるか) 1998(平成10)年3月16日生まれ、22歳。北海道旭川市出身。旭川東高から日大に進み、JAL所属。中学までバドミントン、高校1年まで水泳選手だった。高校で陸上を始め2年からやり投げに専念。2015年世界ユース選手権優勝。19年世界選手権代表。66メートル00の日本記録を持つ。179センチ、86キロ。