フェンシング・三宅諒が約4か月ぶりに練習を再開「“Uber Eats”の活動は第二の原点」

引用元:スポーツ報知
フェンシング・三宅諒が約4か月ぶりに練習を再開「“Uber Eats”の活動は第二の原点」

 フェンシングで2012年ロンドン五輪男子フルーレ団体銀メダルの三宅諒(29)=フェンシングステージ=が1日、昨年3月にオープンした東京・練馬区の「NEXUS FENCING CLUB」で今年3月以来、約4か月ぶりに練習を再開した。

 ピスト上に帰ってきた三宅は17年頃から指導を受ける和田武真コーチ(41)の対人のレッスンを約40分間受け、剣で突き合った。その後はフットワークを鍛えるメニューを約20分間、汗を流した。約1時間の練習を終えた三宅は「体中が楽しいし、いい練習ができた。すごくうれしいし楽しいし…本当にポジティブな気持ちでしかないです」と喜びを語った。

 約4か月のブランクがあったにも関わらず、三宅の体はよく動いていた。和田コーチは「キレが良かった。面白くなってきて、つい追い込んじゃった」と明かすほど。三宅は自粛中の4月末から競技資金捻出などのために週3~4日で取り組んだ「Uber Eats(ウーバーイーツ)」配達員のアルバイトを挙げ、「普段、自転車をこいでいたので、瞬発系はまだまだだけど、動き続けることに関してはポジティブな印象を受けた。(体力を)維持できていた」と手応えを口にした。

6月まで自転車を走らせ、都内各所へ配達に回ってきたといい、合計4万円ほどの稼ぎがあった。

 「Uber Eats」配達員としての活動は世間の注目を集めるだけでなく、五輪メダリストを精神面で支えた。1年延期された東京五輪に向け、コロナ禍で試合が中止となったために競技面では成果を出すことはできなかった。だが、“五輪のため”に始めたアルバイトを重ねたことで「(競技と)別のところで、五輪のために何かをすることで、精神的におだやかな状況を作れた」と三宅。さらに「Uber Eatsの活動は第二の原点。この経験や思い出を持って、今後の練習に取り組みたい」。引き続き、会員登録はそのままで「今は梅雨なのでケガのリスクも考えて。また冬とかに、ちょっと動きたい時にやると思う」と語った。

 来夏に1年延期された五輪へ、大きな一歩を踏み出した。保留にしていたスポンサー3社とも再契約に向けて話し合いが行われる見通し。今後は今月中旬の静岡・沼津合宿から日本代表に合流予定で「やっぱりフェンシングが好きで、五輪に出たい」。まずは9月の全日本選手権(東京・駒沢体育館など)での「日本一」を目標に、調整していく。

◇三宅の練習再開までの行動

 ▽3月 新型コロナウイルス感染拡大で国際大会は全て延期。東京五輪選考レースが中断される。選手は自粛生活へ。

 ▽4月29日 三宅は競技活動資金捻出などのために「Uber Eats」配達員のアルバイトの開始を「note」で報告。各メディアで報道され、注目を集める。

 ▽5月27日 アスリートやチームに寄付(ギフティング)などで金銭的な支援を行うサービス「Unlim(アンリム)」に参加することを自身のツイッターで明かす。

 ▽同29日 自身のYouTubeチャンネル「三宅諒の履歴書」を開設。バドミントン男子で08年北京、12年ロンドン五輪代表の池田信太郎さん(39)らとの対談などを公開した。

 ▽6月2日 日本代表の練習拠点である東京・味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の使用が段階的に再開。男子エペ・見延和靖(32)ら代表選手は続々とNTCで練習を再開。三宅は「万全な準備を行って」からNTCでの練習に参加予定。

◇三宅 諒(みやけ・りょう)1990年12月24日、千葉・市川市生まれ。29歳。5歳から競技を始め、慶応高2年時の2007年世界ジュニア・カデ選手権男子フルーレ個人優勝。慶大4年時に出場した12年ロンドン五輪では太田雄貴らと組んで男子フルーレ団体銀メダルを獲得。14年仁川アジア大会同金メダル。現在の世界ランクは39位。左利き。178センチ、72キロ。報知新聞社