来春閉校の県立高校 部員1人の空手部、異動になった顧問に見せたい姿

来春閉校の県立高校 部員1人の空手部、異動になった顧問に見せたい姿

 新型コロナウイルスの影響で今夏、さまざまな競技大会が全国規模で中止に追い込まれ、晴れの舞台を失った高校スポーツ界。各競技団体などがそれぞれ工夫を凝らし、独自の代替大会が準備・開催される中、特別な思いで部活動に汗を流す高校生アスリートがいる。来春閉校する宮崎県立都農(つの)高(梅津政俊校長、72人)の生徒たちだ。コロナ禍に見舞われる中、“高校生活最後の試合”に臨む姿をカメラで追った。 (写真と文・佐藤雄太朗)

 空手道部の大橋陽菜(17)には今、かなえたい希望がある。それは12日に行われる高校総体県予選の代替大会で、高校1年までお世話になった恩師の小玉和清先生(54)に、成長した自分の姿を見てもらうこと。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、スタンド観戦は部員や保護者に限られるからだ。

 1年の入部当初、一緒に練習した3年の先輩がいたがまもなく引退。2年になるとそれまでの恩師で顧問の小玉先生が異動になった。それからは練習の場を幼稚園から通っていた地元の道場に移した。

 昨年9月、県新人戦では組手中量級で2位となり九州大会にも出場。「小玉先生にはもっともっといろんな指導を受けたかった」

 大橋は「小玉先生に見てもらうのは、難しいかな」と話しながらも、「たった1人の部員だったけど、都農高を背負う気持ちで汗を流してきた」。持てる力のすべてを出し切る覚悟だ。

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 ◆宮崎県立都農高 1952年に県立高鍋高都農校舎として発足し55年から都農高。2000年代に入り少子化が続き、16年に高鍋高との再編統合が決定、21年春に閉校する。現在の全校生徒は3年生のみ72人。体育系の部活は男子バスケットボール部、バドミントン部、水泳部、剣道部、空手道部。所在地は宮崎県都農町川北4661。西日本スポーツ