黄金ペア「悔いなく」別々の道へ 4年前、リオで「金」の日に表明

引用元:産経新聞

 日本バドミントン界に五輪初の金メダルをもたらした黄金ペアが、終止符を打った。引退を決断した高橋礼と、現役を続ける意向の松友は別々の道を歩む。13年間にわたり苦楽を共にしてきた2人は「一人ではここまで来られなかった。感謝の気持ちでいっぱい」とそろって声を震わせた。

 転機は3月の全英オープンだった。大会中、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当初4月末までだった五輪レースの中断が決まった。東京五輪を集大成と位置付け、最後まで戦うと決めていた高橋礼の気持ちに変化があった。「最後の試合になるかもしれない」と臨んだ準々決勝で世界ランキング1位の中国ペアを撃破。「やりきった」との思いがこみ上げてきた。

 帰国後は東京五輪延期が決まり、コロナ禍で自粛生活を強いられた。自分と向き合う時間が長くなった。高橋礼は「毎日、どうしよう、いつ辞めようって考えるようになった」という。気持ちは引退へと傾いた。「私はやるといったらとことんやる。中途半端な気持ちは違うなと思った」と意思を固め、6月の時点で松友らに打ち明けた。

 話を聞いた松友は「一回考えます」と伝え、自問自答した。パートナーと同じ選択はしなかった。「バドミントンが好きで、もっとうまくなりたい思いがあった」。コートに立ち続ける自分が自然に思えた。

 4年前、リオ五輪で金メダルを獲得した思い出の8月19日に会見した。五輪2連覇はならなかった。高橋礼は「金メダルを取っていなかったら、ここまで人に知られることも、応援されることもなかったかもしれない」、松友は「応援してくださった方が喜んでくださった景色が一番うれしかった」と振り返った。2人は「悔いはない」と口をそろえた。(久保まりな)