バド・高橋引退「松友だから楽しめた」 13年の歩み、互いに感謝

引用元:河北新報
バド・高橋引退「松友だから楽しめた」 13年の歩み、互いに感謝

 バドミントン女子ダブルスで2016年リオデジャネイロ五輪金メダリストの高橋礼華(あやか)(30)が競技生活に幕を閉じる。共に日本ユニシスに所属する松友美佐紀(28)と宮城・聖ウルスラ学院英智高時代から「タカマツ」ペアで活躍。2人で臨んだ19日の記者会見で高橋は「松友と組んでいたから楽しいと思えたし、いろいろな経験ができた」と、13年を一緒に歩んできた相手に感謝した。

【写真】笑顔で金メダルを手にする高橋礼華と松友美佐紀(2016年、リオ五輪)

 2人は会見で1時間半にわたり、率直な思いを語った。多くの苦労も「2人だから乗り越えられた」と高橋。1学年後輩の松友は「先輩とじゃなきゃ、ここまで来られなかった」と笑顔で言葉を返した。

 高橋は以前から、東京五輪で現役を終えるつもりだった。新型コロナウイルスの影響で五輪が来年に延期となり、その心はずっと揺れていた。「自粛期間中、気持ちと向き合う時間が多く、(現役続行か)どうしようかと考えた」

 女子ダブルスで30歳は若くない。「もう体を動かしたくなかった」。東京五輪代表選考レースでは苦戦を強いられた。両親に電話をすると「自分の好きにしなさい」と言われ、最後は「自分の気持ちが一番大事だと思って決めた」と言う。

 引退に悔いはない。3月の全英オープン(OP)準々決勝で、世界ランキング1位の中国ペアを倒している。「現役最後かもしれないと思い、(力を)出し切った」と納得の表情だ。

 高校時代の一番の思い出は3年時の全国高校総体(インターハイ)で右足を捻挫し団体戦を欠場、個人戦の出場も危ぶまれた時のこと。わざわざ監督の前で練習して猛アピールし、強行出場した。「あの時試合に出ていなかったら、ここまで来られなかったかもしれない」と振り返る。

 引退会見の日は、金メダルを獲得した4年前の日本時間8月19日とちょうど重なった。「自分たちが金メダルを取った日に話ができるのは本当に幸せ」と感慨深げ。競技を続ける松友には「壁にぶち当たるかもしれないが、松友なら大丈夫」と後押しした。

 今後はジュニア世代の指導や、宮城などで普及活動に携わりたい考え。カフェや食に興味があり「大会で飲食を提供できる場をつくりたい」とも。新たな夢はもう広がっている。河北新報