内田篤人が日本のペップになる日まで。『スラムダンク』が彼と世界のかけ橋だ。

引用元:Number Web
内田篤人が日本のペップになる日まで。『スラムダンク』が彼と世界のかけ橋だ。

「問題ないよ、ウッディ。映画は大好きだし、バスケットボールはどう? お望みならニックスの話をしようか」

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『グアルディオラ総論』(マルティ・ペラルナウ著、ソル・メディア発行)の本編の冒頭にペップ・グアルディオラの言葉が載っている。話し相手は、著名な映画監督で、NBAのニューヨーク・ニックスのファンでもあるウディ・アレンだ(ウッディはニックネーム)。

 メキシコのドナドス・シナロアで引退したあと、ペップは休むまもなく、バルセロナBの監督を経由してトップチームの指揮をとった。バルサの監督を辞したあと、およそ1年の充電期間を、家族とともにニューヨークで過ごした。「それでも恋するバルセロナ」などの映画で知られるアレンとの会話は、ニューヨークで交わされたものだ。

 彼が、バスケットボール、ハンドボール、水球などからエッセンスを取り入れているのも有名だ。ポゼッションやポジショナルプレーへの想いがこの世で最も強い人間の1人であるように思われているが、柔軟な思考も持ち合わせている。

彼は日本のグアルディオラか。

 ペップは選手として、16個のトロフィーと1個の金メダル(地元開催バルセロナのオリンピック)を手にした。サッカー史に残るドリームチームの心臓としても活躍した。

 そして監督としては、現役時代を上回る計27個のトロフィーとシャーレをすでに掲げている。そんなカタルーニャの名将のキャリアを振り返ると、ある選手との類似性に気がつくのだ。

「子供の幼稚園のお迎えです。手をつないで、一緒に幼稚園の送り迎えができたら最高だなと思います」

 引退会見で今すぐにやりたいことを語った内田篤人は、充電期間を経て次のステップを探ることになる。彼は、日本におけるグアルディオラになれるかもしれない――。

「『スラムダンク』のことわかってる?」

 2015年、5月8日。シャルケのスタジアムに隣接されたホテル「コートヤード・バイ・マリオット・ゲルゼンキルヘン」の一室にやってくるなり、内田は言い放った。

「ミムラさん、『スラムダンク』のこと、ちゃんとわかってるの? オレの話に、ついてこれる!?」

 幸いにして筆者も『スラムダンク』の狂信者だったので、基本的には対応できた。それでも、インタビューの準備として完全版を全巻読み直し、アニメ版までチェックしてきた内田の情熱にはおよばなかったのかもしれないが……。

「あのインタビューは生涯最高に楽しかったんです!」

 最近、「Number」の編集者Tから興奮気味に電話をもらった。14年以上にわたり数多のトップアスリートのインタビューに立ち会ってきた彼は、9月10日発売の『Number PLUS』内田篤人引退特集号の制作のために過去の記事を読み直し、内田が『スラムダンク』について語ったインタビューの特別さを再確認しいてた。

 インタビューの魅力は様々だ。震えるもの、感動するもの、聞くのが辛くなってしまうほどのもの……それぞれに味がある。

 それでも、筆者も「もっとも楽しかったインタビューは?」と聞かれれば、『スポーツマンガ最強論』の目玉記事で、『スラムダンク』の魅力を内田が語ったインタビューだったと断言できる。次ページは:「やっても、観ても、超面白い!」

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