桃田賢斗が大逆転V…最終ゲーム5-12から宿敵の異変見抜き7連続得点

引用元:スポーツ報知
桃田賢斗が大逆転V…最終ゲーム5-12から宿敵の異変見抜き7連続得点

◆バドミントン ワールドツアーファイナル 最終日(15日、中国・広州)

 【広州(中国)15日=細野友司】各種目の決勝が行われ、男子シングルスで世界ランク1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が、同8位のアンソニーシニスカ・ギンティン(インドネシア)を2―1で下し、4年ぶりの優勝を飾った。女子ダブルスで世界3位の永原和可那(23)、松本麻佑(24)=北都銀行=組は世界1位の中国ペアにストレート負け。男子ダブルスで世界6位の遠藤大由(33)、渡辺勇大(22)=日本ユニシス=組も世界2位のインドネシアのペアに敗れた。

 死闘を制した桃田は、誇らしげに観客席を指さした。「すごく苦しい展開で心が折れそうになったけど、強い気持ちで制すことができた」。前身の15年スーパーシリーズファイナル以来、4年ぶりの優勝。トップ8が集う舞台で、世界1位の力を示した。今季国際大会11度目Vで、世界連盟によると10年シーズンのリー・チョンウェイ(10勝)を上回り歴代最多。開催地のランドマーク、広州塔を模したトロフィーを抱え「すごく疲れたけど、自分でもよくやったな」と自らをねぎらった。

 優れた観察眼が逆転劇を生んだ。最終ゲーム、5―12の劣勢。ただ、相手の勢いには陰りが見えた。強気にストレートを抜くスマッシュを打ってこなかった。「疲れているのか、勝ちを急いでいるのか。相手の変化が見えたので冷静につないでラリーしようと思った」。一気の7連続得点で追いつき、形勢を逆転した。見立ては正しく、ギンティンは右爪先を痛めてプレーに影響が出ていた。窮地でも平常心。日本代表の朴柱奉監督は「桃田の世界一の力が出た」と絶賛した。

 宿敵の成長も肌で感じた。通算11勝4敗のうち、8勝がフルゲームの接戦。逆に4敗は全てストレート負けで、勝敗以上に力は競っている。今大会のギンティンはネット際に落とすヘアピンの精度も高く、選手として幅を広げた。桃田も「これまでの彼はとりあえず速い選手。決めるけど、ミスもするイメージだった。今はしっかり粘って、こっちが決めないと点が取れない雰囲気を出してくる。強くなっていると感じるし、だから自分もまだまだと思う。成長させてもらっている」と敬意を込めた。

 今大会で東京五輪代表を確実とし、今後は転戦しながら来夏へ備える。「今年は納得いく成績を残せたけど、満足せずもっともっと上を目指したい。攻撃の精度、スピードを上げた時にコントロールすることをテーマに取り組みたい」。勝ってなお自省する心が、世界王者をさらに強くする。 報知新聞社