イチロー氏も楽しんだ草野球と軟式野球の違いは何?

引用元:日刊スポーツ
イチロー氏も楽しんだ草野球と軟式野球の違いは何?

軟式野球と草野球、違いは何だろう? バドミントン部出身の最速150キロ右腕・杉浦健二郎投手(21=BC神奈川入団予定)の出現で、取材機会が急増したジャンルながら、いつも記事表記を迷っている。

【写真】草野球でおなじみのルーティンで打席に入るイチロー氏

全国3600超のチームが参加する「ストロングリーグ」の高橋優会長(41)に尋ねた。「全日本軟式野球連盟の規則に基づく大会や活動が軟式野球、それ以外が草野球、でいいのかもしれません」。

具体的には攻撃側のヘルメット着用必須、捕手防具の着用必須、ユニホームの統一などが挙げられるという。なるほど。ストロングリーグはその規則に基づいて行われるため、前記の防具未着用などがあれば不戦敗になるそうだ。高橋会長は「本気か趣味・遊びか、で分けられるのかなと思います」とも説明する。

杉浦投手が自身で立ち上げた「相模台レイダース」も草野球のような緩さを持ちつつ、公式SNSでは「自チームおよび相手チーム様に【ヘルメット必着、施設内禁煙】を徹底します」と明記するなど、チーム運営は真剣だ。過去に中学校校庭で練習試合をした時、相手の一部選手がタバコをポイ捨てして問題になった経緯があるという。

軟式野球は確かに今、熱が高まっている。競技人口は数百万人ともいわれ、高みを目指すチームも増えてきた。動画サイトYouTubeでもいくつかの人気チャンネルがあり、そのうちの1つ「トクサンTV」は今回、BCリーグの球団運営もバックアップするほどになった。

14日に「SWBCJAPAN」の地区対抗戦を取材した。これも高橋会長が音頭を取る。関東・東海・関西の各地区でのセレクションを経て、代表チームが作られた。いわば、草野球そして軟式野球の最高峰のチームだ。来季は東北でも代表チームができる。「世界にも軟式野球が少しずつ広がっていけばなと」と高橋会長は願っている。

本気で軟式野球に取り組むプレーヤーたちも、ベンチでは草野球のように楽しそうだ。ある打者が右翼へ大飛球。惜しくもフェンス前でワンバウンドし、エンタイトル二塁打になった。弾みやすい軟球ならではだ。フェンスを越えた瞬間、ベンチの選手たちは一斉に「あっちゃ~」とコントのようにずっこけた。

SWBC関東代表の黒木俊吾主将(29=会社員)は言う。「知り合いが増えて、人脈が広がっていくのが一番いいですよね」。前出の「トクサン」こと徳田正憲選手(34)も全く同じことを口にし「何歳になってもやりたい」と夢見る。「そうそう、格好つけてやれるのも草野球ならではですね」と黒木主将は思い出したように添え、笑った。

あのイチロー氏(46=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)も先日、草野球をプレーし、話題になった。2020年はさらに「軟式野球」「草野球」が話題になる機会が増えるかもしれない。バウンドが高いから、1死満塁で迷いなくヒットエンドランやゴロゴーの指示が出る。実は観戦していても面白いスポーツだ。【金子真仁】