内海背水孤独トレ「若い選手にかまっていられない」

引用元:日刊スポーツ
内海背水孤独トレ「若い選手にかまっていられない」

今季だめなら-。西武内海哲也投手(37)が8日、鹿児島・奄美大島で自主トレを公開した。昨年10月に左前腕筋腱(けん)修復手術を受け、昨季は1軍登板なし。今オフはプロ入り初の孤独な“単身自主トレ”を敢行。通算133勝のベテラン左腕が復活へじくじたる思いを込めて体にムチを入れた。

ひざ小僧の裂傷が痛々しい。内海がロングタイツをめくり上げ自虐的に笑った。「こんな傷は久しぶり。ランニング中に普通にずっこけた」。奄美入り前の昨年末に黒土のグラウンドに意図せずにダイブした。練習着を泥だらけに汚しても走り続けた。移籍2年目。37歳のベテランに歩を止める時間はない。

早朝8時前からジムでバイクで体を温めた。約2時間のウエートトレ後は球場に移動して走り込みとキャッチボール。「若い頃よりは量より質を上げることを意識している。投げることがメイン。投げられる姿をキャンプで見せたい」と術後の経過を慎重に確認しながらも調整を続けている。

昨季はプロ16年目で初の1軍登板なしに沈んだ。チームの2連覇はうれしかったが「何ひとつ貢献できなかった」と人ごとのようにも映った。「悔しかった。どんだけ調子を上げようとしても前腕の痛みが取れなかった」。10月に手術を受け回復を優先し、今季への最善策を講じた。

今オフは後輩を引き連れず己と正面から向き合っている。「単独でやるのは初めて。少し寂しさを感じますね」とサポートするスタッフと孤独に鍛錬を積む。「若い選手にかまってられない。今年だめだったら…という思いは自分の中にある。悔いを残さないように。それが一番」とキャリアをかけて肉体を奮い立たせる。

左肘には約20センチの手術痕が残る。「順調に回復はしているけど曲がり球は違和感がある。これから徐々に」と焦りとの戦いもある。2度の最多勝、プロ通算133勝左腕は傷だらけのままでは終われない。【為田聡史】