奇跡!桃田、精密検査異常なし 五輪へ意欲「コートに戻り恩返し」/バドミントン

奇跡!桃田、精密検査異常なし 五輪へ意欲「コートに戻り恩返し」/バドミントン

 遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれて負傷したバドミントン男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が17日、入院していた東京都内の病院を退院した。所属先が発表した。精密検査を受けるため帰国翌日の16日から入院していたが、奇跡的に身体面に異常はないと診断され、早期の退院につながった。今夏に迫る東京五輪の金メダル候補は、事故後初めてコメントを発表し、周囲の支えに感謝しつつ、一日も早い競技復帰を誓った。

 運転手が死亡するほどの大事故に遭ってからわずか4日。桃田が奇跡の金メダルへの道のりを歩みだした。精密検査を受けるため、帰国翌日の16日から入院していた病院を退院。マレーシアで診断された顔面3カ所の裂傷と全身打撲を除き「身体面に異常なし」とされた。所属するNTT東日本を通じ、事故後初のコメントを発表した。

 「当面は静養することになりますが、心身の回復に努め、1日も早く元気なプレーをお見せし、支えてくださっているみなさまに恩返しをしていきたいと考えています」(原文ママ)

 マレーシアから成田空港着の航空機で帰国した15日、運転席の真後ろにいた桃田の眉間には事故で受けた裂傷を縫う約10針の跡が刻まれていた。そのまま、簡易検査を受けるため病院に直行し、16日から精密検査を受けていた。検査結果は早ければ17日、遅くても週明けとされていたが、わずか1日の入院で退院することになった。

 事故から一夜明けた14日に日本協会の銭谷欽治専務理事が「命に別条がなかったことが、正直に奇跡だと思っています」と述べたほどの衝撃だった。奇跡的に身体面に異常はみられず、桃田も「幸いにも日本帰国後の精密検査でも異常が見当たらず本日退院することになりました」と安堵(あんど)した。

 所属先は練習再開や大会の復帰時期を未定とし、メンタル面も考慮し、静養に努めるとした。世界ランキング1位の桃田は既に2020年東京五輪代表入りを確実にする。週明けに帰国する日本代表・朴柱奉ヘッドコーチらと今後の復帰プランを協議する予定。日本協会は3月11日に英国のバーミンガムで開幕する全英オープンでの実戦復帰を目指す見通しを示している。

 奇跡の復活を目指すバドミントン界のエースは、同じ25歳で競泳男子個人メドレー2種目の代表に決まっている瀬戸大也(ANA)に近況を報告していた。この日、北京遠征への出発前に羽田空港で取材に対応した瀬戸が明らかにしたもので、事故後にLINE(ライン)でやりとりし「なんとか大丈夫だよ」と連絡が来たという。

 桃田は自身のツイッターでも退院を報告し、視線を前に向けた。「またコートに戻り恩返しできるように頑張ります」。奇跡の金メダルをつかむため、桃田が一歩一歩前進する。