巧みな駆け引きに影響は? 全治3カ月のバド桃田 眼窩底骨折の症状とは

引用元:毎日新聞
巧みな駆け引きに影響は? 全治3カ月のバド桃田 眼窩底骨折の症状とは

 バドミントン男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(NTT東日本)が右眼窩底(がんかてい)を骨折していたことが8日、明らかになった。遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれてから約1カ月後に判明した。金メダルを狙う東京五輪への調整の遅れが懸念される。

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 眼窩底は眼球の下側の薄い骨で衝撃で折れることがある。ボクシングなどで多い負傷で、物が二重に見える症状が出る場合がある。桃田も「シャトルが二重に見える」と訴えている。

 全治3カ月と診断されており、復帰が5月以降になった場合、東京五輪前にトップ選手が出る国際大会は残り3大会しかない。相手との巧みな駆け引きが特徴の桃田にとって試合勘は重要だ。違法賭博行為による出場停止処分を受けて約1年3カ月ぶりに国際大会へ復帰した2017年夏は、周囲に「相手のスマッシュを速く感じる」と話していた。既に東京五輪代表の座を確実としており、慌てて試合に出る必要はないが、五輪までに一定数の試合をこなし、調子を戻しておく必要がある。

 眼窩底骨折の後遺症について、東海大医学部付属八王子病院形成外科の角田佳奈子医師(43)は「程度にもよるが、二重に見える症状は1、2年続くこともある。特に上を向いた際に二重に見えることが多いため、山なりの高い軌道で来るシャトルを打ち返す際に苦労するかもしれない」と話す。

 また、プロボクシング元世界王者の高山勝成のトレーナーを務めてきた中出博啓さん(60)も「ボクシングでは二重に見えた状態のままでもパンチを打てるが、小さなシャトルをピンポイントで打つバドミントンはプレーに影響が出る可能性がある」と懸念する。

 ただ18年4月の試合中に味方と接触して同じ右眼窩底を骨折したサッカーJ1・ガ大阪のGK東口順昭は回復が早く、約2カ月後に開幕したワールドカップ(W杯)ロシア大会でメンバー入りした。10年に自打球を顔面に受けて右眼窩底を骨折したプロ野球・西武の中村剛也もその後も活躍を続けた。

 専門家によると、バドミントンはプレー中に強い衝撃を受ける可能性が低いため、手術後、目の腫れが引けば練習に支障はない。桃田は昨年からの連戦で疲労が蓄積していただけに、切り替えてトレーニングに取り組めれば、コンディション面でプラスにすることもできる。【小林悠太】