IOCコーツ委員長、五輪開催可否判断の期限設けず…5月下旬「公式見解ではない」

引用元:スポーツ報知
IOCコーツ委員長、五輪開催可否判断の期限設けず…5月下旬「公式見解ではない」

 2020年東京五輪の準備状況を監督する国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長は16日、新型コロナウイルスの感染拡大に関連し、五輪開催可否の判断に期限を設けない考えを明らかにした。また、IOCのトーマス・バッハ会長らが、実施各競技の予選が相次いで中止となっている問題を受け、各国際競技連盟(IF)や各国のオリンピック委員会(NOC)、同アスリート委員会と緊急の電話会議を開くことが分かった。IOCが予選方式などについて改めて説明する場となりそうだ。

 様々な意見が出ている東京五輪開催について、コーツ委員長が口を開いた。

 世界各国でスポーツ大会の中止や延期が相次ぐ中、IOC最古参の理事であるディック・パウンド氏が2月、開催可否の判断期限は5月下旬になるとの見方を示して波紋が広がった。しかし、コーツ氏は自身の地元オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙(電子版)の取材に「IOCの公式見解ではない。ディック氏の考えだ」と否定。滞る選手選考を最大の課題とし「全ては7月24日の開幕のために進んでいる」と述べ、予定通りの開催を目指す姿勢を強調した。

 IOCでは予定通りの開催に向け、17日に臨時理事会を開いた後、競技団体、選手、NOCの考えを聞く機会を設けた。この日、都内で日本オリンピック委員会(JOC)の常務理事会に出席した山下泰裕会長によると、IOCは理事会後の17日にIF、18日に各国アスリート委員会、19日にアジアのNOCと電話会談の場を設けるといい、「組織委員会とIOCが共有している情報を伝えていくと推測している」と語った。

 山下会長が「WHO(世界保健機関)を含めた専門家が選手らにとって安心、安全で競技に集中できる場を準備していきたい」と語る中、課題となっているのが各競技の五輪予選だ。ウイルス感染拡大で相次いで中止。世界ランクを基にしたランキングで代表を決めるバドミントンやフェンシングなど大きな影響を受けている。IOCのバッハ会長も「全ての選手にとって公平な予選となるよう最善を尽くす」と、救済措置などの対策を講じる考えを示している。

 山下会長はソ連のアフガニスタン侵攻で大会ボイコットとなった1980年モスクワ五輪を引き合いに出し、「全員が初出場だった柔道の7人の代表のうち、4年後(84年ロサンゼルス大会。山下氏は無差別級金メダル)出られたのは私だけ。選手は大会に人生を懸けて準備している。我々も安心、安全な形を準備できるよう努力したい」と強調した。 報知新聞社