福島で一時避難の経験が奮い立たせた…全英初制覇のバド遠藤&渡辺組 「勝って少しでも勇気や元気を」

引用元:中日スポーツ
福島で一時避難の経験が奮い立たせた…全英初制覇のバド遠藤&渡辺組 「勝って少しでも勇気や元気を」

 バドミントンの全英オープンで、日本勢として初めて男子ダブルスで優勝した遠藤大由(ひろゆき、33)、渡辺勇大(22)組=日本ユニシス=、女子ダブルスを制した福島由紀(26)、広田彩花(25)=アメリカンベイプ岐阜=ら日本代表が17日、羽田空港に帰国。伝統の大会で頂点に立った喜びを語った。

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 伝統と格式あるタイトルを初めて手にした遠藤、渡辺組。遠藤は自身4度目の決勝で初めて優勝し、「本当に勝ちたい大会でしたので、あらためて勝つことができてうれしい」と感慨深げ。渡辺も「素晴らしい大会で、最後までコートに立って優勝できたことを自信に変えて、これからも頑張りたい」と前を向いた。

 感染拡大に伴う渡航情勢の悪化を懸念し、日本代表は4月下旬のアジア選手権(マニラ)まで帰国せず、50日間の異例の長期遠征となるはずだった。それが全英オープン中に、4月12日までの全てのワールド・ツアーの中止、延期が決定。急きょ帰国することになった。

 突然の路線変更にも負けず、頂点にたどりついたのには訳がある。渡辺は福島での中学時代に東日本大震災で被災し、一時避難した経験がある。1回戦がちょうど震災発生日の11日で、「まだ復興の進んでいない、被災されている人もたくさんいる中、僕らができることは勝って少しでも勇気や元気を与えること」と気持ちを奮い立たせた。

 東京五輪の開催自体が危ぶまれている中、遠藤は「もちろん皆さんの前でプレーできればいいけれど、どうなるかわからないので従うしかない」とコメント。渡辺も「命の方が大切、国の決定に従うべき。五輪がどうなるかは分からないけれど、僕らが目指しているのは1番高いところ。この優勝は優勝として、また一からスタートしたい」と話した。