高校総体中止で悲痛な声「国体なければ何もなくなる」各県に救済策要請

高校総体中止で悲痛な声「国体なければ何もなくなる」各県に救済策要請

 真夏の舞台も消えた…。全国高等学校体育連盟(全国高体連)は26日、ウェブ会議による臨時理事会を開き、今夏に東北から九州の21府県で分散して行う予定だった全国高校総合体育大会(インターハイ)を新型コロナウイルスの感染拡大を受けて初めて中止すると決めた。高校生年代では春の全国大会も軒並み中止。九州の高校生アスリートたちはショックを受けた。

【画像】予定されていた全国高校総体の日程表

 剣道団体女子で5連覇がかかっていた中村学園女子(福岡)の笠日向子主将(3年)は全国選抜大会、玉竜旗を含めた高校三大大会が全て中止となったことに「覚悟はしていたけど正直悔しい」。ビデオ通話でミーティングを開き「これで終わりではない。後輩が優勝するために協力し、卒業後に悔しい思いを晴らすためにも頑張る」と気丈に前を向いた。

 昨年バドミントン女子シングルスを制した郡司莉子(3年)を擁する八代白百合学園(熊本)の井村勝英監督は「どんなにマイナスな出来事もプラスに変えようと常々言ってきたが、今回はあまりにも(マイナスが)大きい」とショックを隠せない。選手たちには電話で中止を報告。「せめて顔を見て伝えたかったけど…」と感染防止のために接触できない状況を嘆いた。

 冬の全国大会や今秋の鹿児島国体に出場する可能性がある選手たちからは感染拡大の早期終息を望む声も。ボクシングのピン級で昨年までに高校5冠を果たした鹿屋工(鹿児島)の荒竹一真(3年)は「自分がボクシングを始めた時から鹿児島で国体があることが決まっていて、それに向けて頑張ってきた。国体までには終息してほしい」と切望。昨年の全国総体で相撲団体を制した文徳(熊本)の本田浩二監督は「国体は(予定された全国総体の)約2カ月後だけに行われるかどうか。中止だと本当に何もなくなってしまう」と危ぶんだ。昨年バスケットボール男子で全国総体と冬の全国高校選手権(ウインターカップ)の2冠を制した福岡第一のハーパージャン・ローレンス・ジュニア主将(3年)は「(2冠の)先輩たちに並びたかったが、3連覇がかかるウインターカップで連覇を果たす」と気持ちを切り替えた。

 全国高体連は都道府県高体連に3年生が成果を発表できる場の設定を要請。福岡県高体連の児玉正悟理事長は28日に理事や各競技の専門委員長と協議する予定を明かしたが「大学受験や就職を控える生徒のことを考えると、遅い時期にはできない。(開催可否の判断の)期限を切る必要がある」と説明した。昨年の全国総体ソフトボール男子で8強入りした熊本工の川田洋祐監督は「コロナが終息したら、よく練習試合をしていたチームを誘って最後の試合をさせてあげたい」と語った。 (前田泰子、林原弘、末継智章) 西日本スポーツ