バドミントン女子の山口、成長誓った涙 リオ、胸に染みた声援―五輪あのとき

引用元:時事通信
バドミントン女子の山口、成長誓った涙 リオ、胸に染みた声援―五輪あのとき

 普段は感情をあらわにすることの少ないバドミントン女子シングルスの山口茜が、敗れて泣いた試合がある。2016年リオデジャネイロ五輪の準々決勝。奥原希望との日本勢対決で、逆転負けした。

 それまでの対戦成績は3学年上の奥原の7戦全勝。当時19歳の山口は「どうせ勝ったことがないし、当たって砕けろと。最初から全力でいった」。第1ゲームは躍動感のある攻めを続け、21―11で圧倒。しかし、第2ゲーム中盤から失速した。体力、守備力で勝る奥原にペースをつかまれ、続く2ゲームを連取された。

 もともと五輪を特別視していたわけではない。「テレビで見たこともあまりなかった。数ある国際大会の一つ」と言い切り、大舞台へピークを合わせてくる世界の強豪と勝負できるのが、純粋に楽しみだった。

 実際に五輪でプレーすると、周囲からの声援が胸に染みた。「格好良かった、感動したというメッセージをもらえたのはうれしかった」。所属先の再春館製薬所は熊本県益城町に拠点があり、その年の大地震で被災した人を勇気づけたいという気持ちもあった。「バテてしまっても良しと思っていた。自分らしいプレーはできた」。やり切ったが、悔し涙を抑え切れなかった。

 「4年後に向けて頑張ろうではなく、次の試合で勝てるように頑張りたい」と誓い、18年4月に男女を通じて日本勢初のシングルス世界ランキング1位になるなど、着実に成長してきた。今の世界ランクは山口が3位で、リオ五輪銅メダルの奥原は4位。来年に延期された東京五輪では、両エースによる頂上決戦が見られるかもしれない。