なぜ美誠&水谷ペアは圧倒的に強いのか? 卓球、混合ダブルス独特の「速さ」と「早さ」

引用元:REAL SPORTS
なぜ美誠&水谷ペアは圧倒的に強いのか? 卓球、混合ダブルス独特の「速さ」と「早さ」

現在、卓球女子の世界ランキング2位・伊藤美誠選手と、日本の卓球界を牽引してきた水谷隼選手とのコンビが内定している東京五輪の混合ダブルス代表。男子と女子が交わって試合をする特殊な「ミックスダブルス」の最大の魅力とはなんだろうか? 男女が独特のリズムで交互に打つ「スマートさ」と、男子の「速さ」と女子の「早さ」に秘密があるという。

(文=本島修司、写真=KyodoNews)

「世界一の男女」となった吉村・石川ペア
卓球のミックスダブルスの魅力を、強烈に世界中へ発信した試合がある。

2017年世界卓球選手権ドイツ大会。混合ダブルス決勝戦。
吉村真晴・石川佳純ペアが、世界一になった試合だ。石川選手は左利きである利点も生かしながら、激しい横の動きを見せる。吉村選手は石川選手より一歩引いた位置から、長いドライブを使ったり、チャンスボールと見るや素早い前後の動きを見せて、前に飛び込んでラリーを決めたりする。この2人がつくる独特のリズムとコンビネーションは、最後の最後まで崩れることなく、2人は「世界一の男女」となった。

多くの場合、同じスポーツでも、男子と女子が交わって試合をするのは大変なものだ。そんな中で、「男女混合」で世界の頂点まで競い合うことができる競技として、すぐに思いつくものは何か。それが、「ミックスダブルス」である。テニスや、バドミントンでも、ミックスダブルスというのはさかんに行われてきた。

そんな中、近年、特に注目度が上がっている競技「卓球」も、ミックスダブルスの文化を長きに渡り発信してきたスポーツの代表格だ。卓球のミックスダブルスという、唯一無二の魅力。その中身を見ていこう。

ミックスダブルスができる条件、そして競技として成立する条件。それは「他のスポーツよりは『パワー』において、決定的な差がつかない」ということがあると思う。この点は卓球だけでなく、バドミントンやテニスでもやや近いものがあるだろうか。

しかし、これが野球やサッカーとなると、なかなか「混合で世界のトップを目指す」という形はとれない。それだけ、野球やサッカーは男女がそれぞれのカテゴリーでパワーとスピードを突き詰めているということだ。