強化拠点、通常稼働は遠く トップ選手ら慎重に始動―東京五輪

引用元:時事通信
強化拠点、通常稼働は遠く トップ選手ら慎重に始動―東京五輪

 緊急事態宣言の全面解除を受け、4月上旬から使用が中止されていた味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC、東京都北区)も再開へ踏み出した。東京五輪に向けてトップ選手の強化がままならなかった競技団体からは歓迎の声が上がるが、通常稼働にはなお道のりを残す。

 NTCで日本代表強化合宿を頻繁にこなし、近年の好成績に結び付けてきたバドミントン。日本協会の銭谷欽治専務理事は「早ければ6月中旬から代表合宿を実施したい」と期待を寄せる。協会は施設使用にあたり、選手の健康管理を徹底した上で、人数を減らしたり、ラケットの貸し借りを禁じたりして万全を期す。ただ、ウイルス感染状況が軽微な地方には、東京への移動に抵抗感を残す実業団チームもあるという。

 日本スポーツ振興センターによるNTC再開の指針では段階的な使用緩和が明記されており、本格的な練習までには時間がかかる。日本レスリング協会の西口茂樹強化本部長は「ハードルが高そう。コロナで2カ月以上休んで選手の体力も落ちている」とし、7月までは代表合宿を行わない方針。日本フェンシング協会の福田佑輔強化本部長も「最初は対人練習は難しい」、柔道関係者も「乱取りまでは、慎重を期していかないと」と言う。

 大人数によるチーム練習から遠ざかる団体球技も同様だ。日本バスケットボール協会の東野智弥技術委員長は「(コンディションを)取り戻すのに時間もかかる。チームとして練習ができるまでには少なくとも1カ月かかるだろう」と予想。ハンドボール関係者も「まだ移動が頻繁にできる状況ではないと思うので検討中」との姿勢で、すぐにNTCを使う予定はない。