バド世界ジュニア女王の高校3年・郡司莉子「成長した姿を」 インターハイ中止も前向く 

引用元:産経新聞

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、史上初めて全国高校総合体育大会(インターハイ)の中止が決まった。“最後の夏”を奪われた選手は、何を目標に過ごせばいいのか。前回のバドミントン女子シングルスを制し、昨年の世界ジュニア選手権でも女王になった高校3年生、郡司莉子(熊本・八代白百合学園)は、「社会人になったときに、成長した姿を見せたい」と卒業後の活躍を見据え、前を向いている。

 4月26日。史上初のインターハイ中止を、郡司はインターネットで知った。今年は女子シングルスでの2連覇、女子ダブルスと団体戦でベスト4以上が目標だった。仲間とは「上位を狙えるチャンスがあったので悔しい」などと、グループのメッセージでやりとりした。予想はしていたものの「実際にそうなったときは残念だった」と振り返る。

 前を向かせてくれたのは恩師の言葉だった。中止が決まった日の夜、同校バドミントン部の井村勝英監督から電話をもらい、こう声をかけられた。「大会で郡司の(コートの)後ろに座ることはもうないけど、まだまだ(郡司は)これからだから」。未来に広がる自分の可能性を想像した。気持ちが切り替わった。いまは「高校を卒業して社会人になったとき、(井村)先生に成長した姿を見せないと」と誓っている。

 不安はある。通常の部活動は3月下旬から行えず、自宅周辺でランニングや縄跳びに時間を割く。今年から日本B代表入りして参戦した世界バドミントン連盟(BWF)主催の国際大会も中断中。国内大会の中止も相次ぐ。「正直、モチベーションの持っていき方は難しい」と胸中を明かす。

 インターハイの代替大会実施を検討している自治体は多い。BWF主催大会の再開見通しも立った。「大会が再開したときに、良い結果を残せたら」と郡司。試合でコートに立てる日を待ちわびている。(久保まりな)