ペア種目の連係にもコロナの影響 卓球はダブルス練習禁止、再開はいつ

引用元:産経新聞

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除され、自粛が続いていたスポーツ界も少しずつ動き始めた。各競技の代表選手の強化拠点である味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)も利用再開となったが、卓球はダブルスの練習が当面禁止されることが決まった。卓球に限らず、五輪種目にはペアで挑む種目も多く、2人の呼吸を合わせることは重要なテーマ。今後、練習時間を確保できるかが課題になっていく。(岡野祐己)

 日本卓球協会は27日、「NTC利用再開に関する新型コロナウイルスへの対応ガイドライン」を公表。その中でダブルスの練習は「密接を避けるため指示があるまで禁止」と定めた。卓球台は縦の全長が2・74メートルに対し横幅は1・525メートル。ウイルスの飛沫(ひまつ)感染防止に必要とされる2メートルのソーシャルディスタンス(社会的距離)が確保できないことが要因の一つだ。

 東京五輪の混合ダブルスで水谷隼(じゅん)=木下グループ=と組む伊藤美誠(みま)=スターツ=は「やっぱり、少しやるだけでも違う」と合同練習の重要性を強調する。伊藤が台の近くで速攻で打ち、水谷が台から離れた位置で強打するプレーが持ち味の2人。今年3月の国際大会で中国ペアを破って優勝するなど金メダルに期待が懸かっている。

 ガイドラインは2、3週間に1度見直すとしているが、ダブルスの解禁時期は未定。伊藤は「いつも試合の20~30分前にパンっとやって(試合に)入っちゃう」と話すが、昨年7月から組み始めたばかりでまだペアの経験は浅い。少しでも早く合同練習を再開したいところだ。

 卓球と同じく、バドミントンも代表活動は停止状態にある。五輪でメダルラッシュが期待される競技だけに、代表合宿の再開時期はダブルスの強化プランの見直しにもつながっていく。

 水泳の男子シンクロ板飛び込みの寺内健、坂井丞(いずれもミキハウス)組も例外ではない。寺内は練習拠点が兵庫で、坂井は神奈川。もともと一緒に練習する機会が少ないのが海外ペアとの差になっていて、寺内は「ぴったり合わせようとすればするほど、なかなか合わないのがシンクロの難しさ」と言い切る。

 寺内は、後輩の坂井が写真共有アプリ「インスタグラム」に投稿するトレーニングの様子を見ながら、現状を把握しているという。39歳のベテランは「通常の社会生活が取り戻せたら、また練習していければ」。東京五輪の1年延期で代表権は未定になっている2人だが、今は感染防止に努めながら、五輪のイメージを膨らませている。