コロナで事業縮小、減収… 苦境の地域スポーツクラブ、早期再開へ模索

コロナで事業縮小、減収… 苦境の地域スポーツクラブ、早期再開へ模索

 新型コロナウイルスの影響で、子どもから高齢者までの生涯スポーツを下支えしてきた「総合型地域スポーツクラブ」が苦境に立たされている。長期の活動休止は経営を圧迫しており、神奈川県内のクラブも早期再開へ事業の縮小や見直しを模索。「できる限りの感染対策をして、また地域の皆さんと一緒に体を動かしたい」。関係者は一日も早く日常が戻ることを願い、再開のタイミングを計っている。

 自転車を走らせ、約1200人の会員宅をくまなく回るのはNPO法人「SELF」(川崎市高津区)のスタッフたち。活動休止の影響で配布できなくなった月1回発行の広報誌を直接届けるためだ。

 事務局統括マネジャーの鈴木章弘さん(46)は、「玄関先でお会いすると『いつ再開するの』と声を掛けてもらうこともある。メールで発信するよりも、1軒ずつ回ることで僕たちの思いが伝わるはず」と話す。

 中学校施設の夜間開放を利用し、地元の小中学生らに人気の同クラブ。3月上旬の臨時休校と同時に活動できなくなった。再開は早くても7月以降。当面は会議室で実施するメニューを中止し、体育館で行うバドミントンなども参加人数を減らす方針だ。鈴木さんは「子どもにスポーツの楽しさを伝え、底辺を広げるために活動してきた。早く元気な声を聞きたい」と願う。

 「(緊急事態宣言が)解除されたが、まだ(外出自粛で)家に閉じこもっている人が多い。元気かどうかも分からない。かなりストレスをためているんじゃないかな…」

 横浜市旭区で活動するNPO法人「若葉台スポーツ・文化クラブ」のスタッフは気をもんでいる。年間延べ18万人の利用者の大半は近隣の団地に住む高齢者。人気のグラウンドゴルフには100人近い参加者が集まることもあり、クラブマネジャーの神尊克己さん(71)は「ここで体を動かすのが日課になっている人が多い」と話す。

 世代を超えて多くの種目を楽しめるのが地域クラブの魅力。ただ、コロナの感染リスクが高いとされる高齢者への対応は悩みの種だ。「クラブに来て健康を保ってもらえるように準備したい」と神尊さん。子どもとのすみ分けに配慮したり、利用団体を減らしたりして、6月以降段階的に再開できるよう調整している。

 活動休止の長期化はクラブ経営に打撃を与えている。SELFは収入の柱だった公共スポーツ施設の指定管理事業が5月分までストップし、売り上げは例年の3分の1まで落ち込んだ。若葉台クラブも約200万円の減収を見込んでいる。

 日本スポーツクラブ協会が4月前半に実施したアンケートによると、回答した243のクラブのうち101万円以上の損失が出ているクラブは36%に上った。そのうち501万円以上という答えは6%だった。

 全活動もしくは大半の活動を中止しているクラブが86%。今後のクラブ経営継続について「規模を縮小する」は11%、「再開見込みは立っていない」との回答は24%もあった。関係者は「地域スポーツの崩壊が現実味を帯びている」と危機感をにじませている。 神奈川新聞社