【2019年6月20日】広島・小園海斗がプロ初打席初安打…持ってるドラ1の第一歩

引用元:スポーツ報知
【2019年6月20日】広島・小園海斗がプロ初打席初安打…持ってるドラ1の第一歩

 ◆2019年6月20日 広島7―6ロッテ(マツダ)

 「日本一のショート」を目指す男が、プロとしての第一歩をしるした瞬間だった。広島・小園海斗内野手が初回先頭で相手先発・種市のフォークを左前へ運び、プロ初打席初安打。球団の高卒新人野手では前田智徳以来29年ぶりの快挙だった。

 「真っ赤なスタンドで守ったり打ったりできたのは、本当に良かった。初打席が初ヒットだったのでうれしかった」

 当時、チームは交流戦で低迷。その中で前日まで635試合連続フルイニング出場を続けていた田中広が不調でスタメンを外れ、小園が起爆剤として「1番・遊撃」で1軍昇格即スタメン。ドラフト1位が首脳陣の期待にいきなり応え、高素質をのぞかせていた。

 報徳学園時代の1年時、U―18日本代表では監督として、高校2、3年時には担任として小園を指導した永田裕治氏も画面越しで雄姿を見つめた。「大舞台に強い。大きければ大きいほど強い。甲子園でもだいぶ打っていたしね」と回想する。

 実際に高校3年時の夏の甲子園では、聖光学院戦で大会タイの1試合3二塁打を放った。そして根尾(中日)、藤原(ロッテ)、吉田輝(日本ハム)とともに高校BIG4が競演した19年7月のフレッシュ球宴では、吉田輝から初回先頭打者弾をマークし、MVPを奪取。特別な舞台で何かをやってのけるところは、プロでも不変だ。

 その「持ってる男」のプロへの道のりには、両親の支えも大きかっただろう。高校時代は、早い時には午前5時に起床。父にバドミントンの羽根を投げてもらい、細い木の棒で打ち返してミート力を向上した。朝食は体重増加のための「食トレ」で、母が毎日献立に工夫を凝らしてくれた。学校での練習も含め、実に3本立ての“朝練”。小園自身もドラフト指名時から「プレーで頑張っている姿を見せて、恩返しをちょっとずつでもしていきたい」と両親へ向けて語っており、プロ初安打も間違いなく恩返しの一つとなったはずだ。

 昨年の6月20日は既に68試合目(広島の試合数)を迎えていたが、今年はコロナ禍で全球団開幕2戦目と、シーズンは始まったばかり。今季のルーキーたちはここからどのような物語を紡いでいくか。そして小園はどのように2年目の進化を遂げていくか。(田中 哲)報知新聞社