「怖がりは悪いことじゃない」 体操金メダリスト塚原直也が高校生に授けたエール

引用元:THE ANSWER
「怖がりは悪いことじゃない」 体操金メダリスト塚原直也が高校生に授けたエール

 体操のアテネ五輪団体金メダリスト・塚原直也さんが3日に「インハイ.tv」と全国高体連が「明日へのエールプロジェクト」の一環として展開する「オンラインエール授業」に登場。インターハイが中止となった全国の体操部20人に向けて授業を行い、技術、メンタルなどのアドバイスを送ったほか、「コロナにも自分にも負けないで」と思いを届けた。

 塚原さんが登場した「オンラインエール授業」はインターハイ実施30競技の部活に励む高校生をトップ選手らが激励し、「いまとこれから」を話し合おうという企画。ボクシングの村田諒太、バドミントンの福島由紀と廣田彩花、バレーボールの大山加奈さん、サッカーの仲川輝人、佐々木則夫さんら、現役、OBのアスリートが各部活の生徒たちを対象に講師を務めてきた。

 第13回を迎えた“夢授業”に登壇したのが、アテネ五輪団体金メダリストの一人、塚原さんだった。本格的に体操を始めたのは10歳。キャリアの土台を築いたのが、明大中野(東京)で過ごした高校時代だ。個人総合で2連覇を達成。「練習漬けの日々。1日7~8時間くらい練習する毎日だった」と3年間を振り返る。

 父は「ムーンサルト(月面宙返り)」の生みの親で、ミュンヘン、モントリオールで五輪金メダルを獲得した光男さん。そんな影響もあって「体操を始める時に五輪の金メダルを目標にした」と塚原さん。「高校ではインターハイの目標が大きく、父もしていた個人総合2連覇を達成したいと思って頑張っていた」といい、偉大な父を追いかけるようにして実際にV2を果たした。

「そこが自分の(体操人生の)デビュー戦みたいなもので、その頃に(五輪金メダル7個を獲得した)ニコライ・アンドレアノフコーチに出会って、指導を受けると一気に成績が出て、大きな自信がついた。自分もやっていけるんだなって」

 当時の振り返りに続き、行われたのが質疑応答だった。技術、メンタル、人生という3つの項目に分け、男女体操部員の質問に塚原さんが答えた。

――高校時代はどういう筋力トレーニングをしていましたか?

「実は、筋トレはほとんどしなかった。練習が筋トレになっていたし、筋トレをしてしまうと余計な筋肉がついて重くなる。なるべく自然な筋肉つけたいと、6種目の演技を繰り返し、筋力、持久力を高めていった。それはアンドレアノフコーチの指導の一環でロシア式。腕立て伏せとか、一般的なトレーニングは多少したけど、1日1試合分こなすことで、どんどん強くなっていった」

――自分は怖がりで、新しい技に挑戦する時に周りに後れを取ってしまいます。新しい技に挑戦する時のメンタルはどんな風に持てばいいですか?

「怖がりということは悪いことじゃない。慎重に物事を進めていくのは今後に必要な能力だから。まず、新しい技はいきなりやると、誰でも怖い。自分が恐怖でギリギリできないレベルじゃなく、補助についてもらったり、挑戦できるくらいの柔らかいマットを敷いたり、工夫が足らないとできない。徐々に難しい技に挑戦していくことが早く上達するコツだと思う」次ページは:目標を失った高校生の思い「体操で学んだことを生かして立派な社会人に」

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