スポーツジムは今後どうあるべきか コロナ禍で「通えない」業界が立たされた岐路

引用元:THE ANSWER
スポーツジムは今後どうあるべきか コロナ禍で「通えない」業界が立たされた岐路

 忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏がビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。

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 新型コロナウイルス感染拡大により、退会者が増えるなど、大きな打撃を受けているスポーツクラブ。今後、業界としてどうあるべきか。今回はスポーツジムからパーソナルトレーナーとして独立し、長年、業界に携わってきた中野氏が率直な思いを語る。

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 スポーツクラブ業界もコロナ禍をきっかけに、今までとは明らかに異なる流れが生じています。

 最も大きな変化は、新型コロナ感染症対策によって、多くの方が気軽にスポーツクラブやジムに足を運べなくなったことです。その結果、少なくない数のジムが、クローズしたり、退会者が増えたりと厳しい状況に置かれています。

 一方、一部のジムでは、集客数が上向きになっている現象も起きています。それが、パーソナルジム。どうやら大規模のジムよりも他者との接触が少ないこと、1対1のセッションによってトレーナーとの信頼関係を築きやすいことが安心感につながり、入会希望者が増えているようです。

 これまで、パーソナルジムのネックになっていたのは、大手スポーツクラブやジムに比べると高い、会員費でした。ところが約半年の間に、運動不足の方、一人では運動が続かない方にとって、健康不安はより大きな問題になりました。結果、パーソナルジムは健康を維持するために、最も堅実な選択へと変わったようです。私たちのジムでも、今までスポーツクラブや24時間フィットネスジムに通っていた高齢者や社会人からだけでなく、「部活動が中断し、どんなトレーニングをすればいいかわからない」と悩む高校生や大学生からの問い合わせまで来ている状況です。

 スポーツクラブの方々とも現状について会話を重ねていますが、スポーツクラブやジム離れの原因の一つに、お客さんとのコミュニケーション不足も挙げられているそうです。

 今のように「通えない」状況に置かれても、いつも通う店舗の、よく言葉を交わすトレーナーに気軽に相談ができたら、会員さんもきっと安心でしょう。しかし、多くのスポーツクラブではトレーナーに対し、プライベートのメールアドレスを会員に教えて個別相談に乗る、一緒に食事に行くといった個別交流を一切禁止しています。 

 大型スポーツクラブになればなるほどそれを許してしまうと様々な問題が起きる可能性が高く、制限させることは必要だと私も思います。

 ただ、会員さんとしては、交流のあるトレーナーにトレーニングの相談もできず、ジムにも行けないのであれば、「会員でいる意味がないな……」と思ってしまうのでしょう。次ページは:パーソナルトレーナーの理想は「かかりつけ医」のような存在

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