憧れの喜友名を追いかけて…空手の17歳・花原がコロナ禍の異例大会「形インターネットGP」で全国上位進出「将来は日本代表に」

引用元:中日スポーツ
憧れの喜友名を追いかけて…空手の17歳・花原がコロナ禍の異例大会「形インターネットGP」で全国上位進出「将来は日本代表に」

 中止となったインターハイの代替大会として今夏開催された、空手の「形インターネットGP」で、愛知・武豊高3年の花原涼介(17)が7位に入った。東京五輪空手男子形でV候補筆頭の喜友名諒(30)をお手本に演武を磨いてきた。コロナ禍での異例の大会で全国上位に躍進し、「将来は日本代表に」と夢は広がる。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けての前例のない大会だった。高3の選手を対象に、各自が演武の動画をエントリーする形式で行われた「形インターネットGP」。花原は望外の結果を手に入れた。「自分は今まで全国に行くような選手ではなかった。今回ベスト16が目標だった。7位になるとは思ってもいなかった」

 幼いころ、親に「礼儀を学んで」と連れて行かれた空手道場へ、10年以上通い続ける。高校では「空手に生かせるような、一番練習がきつい部活に入ろう」とバドミントン部へ入部。あえてストイックな環境に身を置き、走り込みで下半身を鍛えるなどしてきた。

 世界選手権で3連覇中の絶対王者・喜友名の存在が、花原をさらに変えた。2018年12月、日本武道館で行われた全日本選手権を観戦。「客席にも風圧が伝わってくるような。圧倒的でした」と、世界トップの形を目の当たりにした。

 19年夏には、喜友名の師で日本代表の佐久本嗣男コーチが沖縄で開催した空手セミナーに、花原も参加した。喜友名に直接指導を仰ぐ機会はなかったが、同門のトップ選手からは「極め」の姿勢などを学んだ。

 今回の「形インターネットGP」へのエントリーに際しては、「喜友名選手がやっているので」と、喜友名の得意形「アーナン」を切り札に選んだ。コロナ禍の最中、動画を研究し、道場や自宅近くの体育館で繰り返し練習した。喜友名イズムが染み込んだ「アーナン」が全国7位の原動力になった。

 指導する拳和館道場(愛知県武豊町)の桑子和也館長(50)は「まじめで、正確な形をうつ。もっと上位に入る力がある」とまな弟子を評する。高校卒業後は大学へ進学し、空手に打ち込む。花原は「今回たまたま入ったと言われたくない。日本代表に入るような選手になりたい」。

 憧れの喜友名は大学、社会人と年を経るごとに進化している。今は遠い背中を、一歩一歩追いかけていく。形インターネットGP7位の表彰状を手に笑顔の花原(右)と、指導する桑子館長=愛知県武豊町で▼花原涼介(はなはら・りょうすけ)2002(平成14)年9月21日、名古屋市生まれの17歳。165センチ、64キロ。空手男子形。小1で空手を始め、愛知・武豊高では2年時の2019年に国体(少年の部)出場。20年にはインターハイの代替大会として開催された「形インターネットGP」で7位に入った