世界15位に大健闘 高校王者の18歳奈良岡功大は手応え「A代表に良い試合、自信に」

引用元:THE ANSWER
世界15位に大健闘 高校王者の18歳奈良岡功大は手応え「A代表に良い試合、自信に」

 第73回全日本総合バドミントン選手権大会は、29日に駒沢体育館で各種目の準々決勝を行い、男子シングルスに出場したインターハイ王者の奈良岡功大(浪岡高校)は、1-2(7-21、21-19、13-21)で日本A代表の西本拳太(トナミ運輸)に敗れてベスト8で敗退したが、世界ランク15位を苦しめる大健闘で、潜在能力の高さを証明した。手応え十分の奈良岡は「中学生のときは多分、1ケタしか点を取れずに負けたけど、今日は良い試合ができて良かった。西本選手はすごく強かったけど、やってきたことすべてをやろうと思って臨んだ。A代表を相手に良い試合ができて自信になる。この後の国際大会で優勝できるように頑張りたい」と笑顔で試合を振り返った。

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 第1ゲームは、7-21。あっさりと取られる形になったが、奈良岡の失点の多くは「アウト」によるもの。相手に決められる展開だったというより、低い球や厳しいコースを狙った結果、コートを外れて失点になることが多かった印象だ。奈良岡は「いつもどおりに試合に入ったら、すごく良い球が来た」と慣れるまでに時間がかかり、流れをつかめなかった。

 しかし、第2ゲームでは、スピードを一気に上げて反撃。速いフットワークでシャトルの落下点に入り、高精度の球をネット前に落としていった。身長が高い西本の強打を避ける意味合いもあったというが、ネット前に落とした後、ネット前に立ってプレッシャーをかけるなど、積極的に主導権を握りにいった。

 時折、胸元の球に柔らかくラケットの面を入れ込むようなスイングからトリッキーなショットも見せ、11-4とリード。一気にスピードを上げたため、途中から息遣いが荒くなったが、足を止めることなく、終盤は粘って相手のミスを誘い、18-19から再逆転で21-19として勝負をファイナルゲームに持ち込んだ。

来春卒業の高校3年生「東京五輪も出られるのであれば出たい」
 世界ランク15位の西本は、同門の常山幹太(トナミ運輸)と出場権を争う2020年東京五輪の出場候補。負けられない試合だ。ファイナルゲームは、序盤は差がつかなかったが、強打で10点目を奪って咆哮した西本は、11点目をヘアピンで決め、11-5のリードで折り返しに成功。中盤以降は、高さを生かした強打で主導権を掌握した。

 奈良岡も粘ったが、西本が21-13で試合を押し切った。意地を見せた西本は「高校3年生とは思えない。レシーブは世界で戦っていける。ロブもタイミングを外すのが上手い。体力、戦術が身につけば、怖い存在になる。侮れない相手と思っていたけど、想像以上だった。まだ壁になれるように、負けられないという意地で勝てた」と素直に苦戦を認め、伸び盛りの若手を称えた。

 実際、奈良岡の健闘は目を引いた。前日に準々決勝を勝った後には「東京五輪も出られるのであれば出たい。目指している」と先を行く先輩たちを追い抜きにかかる意気込みを示していた。昨年の世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得しており、将来が期待されている有望株だ。現在、高校3年生で来春には卒業するが、まだ進路を公表していない。奈良岡は「すいません、まだ言えません」と話すに留めている。一般的に国内の高校生の進路は、実業団か大学が多いが、どちらなのか、あるいは別の道か。進路が注目される。 平野 貴也 / Takaya Hirano