金メダルへの序章 バド桃田、ラケットに繊細な感覚

引用元:産経新聞
金メダルへの序章 バド桃田、ラケットに繊細な感覚

 悲願の東京五輪金メダルに向けて、国内大会で貫禄を見せつけた。東京・駒沢体育館で30日、行われたバドミントンの全日本総合選手権の男子シングルス準決勝。世界ランキング1位の桃田賢斗(NTT東日本)は相手を寄せ付けず、決勝進出を決めた。世界有数の高い技術力を持つ桃田は試合中に多彩なショットを繰り出し、得点を稼ぐ。ラケットの開発者は桃田の繊細な感覚に驚くことがあったといい、さらなる飛躍に期待を寄せている。(松崎翼)

 バドミントン日本一を決める今大会に、桃田は「ここで負けるわけにはいかない」と並々ならぬ決意で試合に臨んでいる。この日も相手を圧倒。強烈なスマッシュを決めるたびに、観客席から拍手が起こった。桃田は「試合中にわいてもらえるのは、すごくやりやすい」と話す。

 今季、数々の世界タイトルを手にしている桃田を支えているのが、ヨネックス製品開発部の山川隆弘さん(36)が手掛けたラケット「ASTROX(アストロクス)99」。多彩なショットを放つことができるのが特長だという。

 「バドミントンはスマッシュばかりが目立つが、実際はさまざまな場面でショットのコントロールが重要になる」と山川さん。今回、桃田の力を引き出すラケットを提案した。

 山川さんによると、桃田はラケットの性能に繊細な感覚を持っている。数年前、使い慣れたラケットと同じ性能の新品を届けたとき、桃田は首をかしげた。「振った感じが違う。違和感がある」。ラケットを調べた結果、重さとバランスが出荷時とわずかに異なっていることが分かった。

 差異の原因は、汗を吸ったことによるグリップの重さだった。山川さんは「水分による変化はわずかで、プレーに影響しないと考えていた。目からうろこだった」と振り返る。

 五輪を前にした国内大会に「応援してくれる方に恩返しできるよう、自分の力を全て出し切る」と意気込む桃田。山川さんは「桃田選手が活躍することで、バドミントンがさらにメジャーとなり、たくさんの人に親しまれるスポーツになればいい」と期待している。