桃田、眉間に傷も足取りしっかり 大事故から2日…サングラスに白マスク姿で帰国/バドミントン

桃田、眉間に傷も足取りしっかり 大事故から2日…サングラスに白マスク姿で帰国/バドミントン

 遠征先のマレーシアで交通事故に遭い負傷したバドミントンの男子シングルス世界ランキング1位、桃田賢斗(25)=NTT東日本=が15日、成田空港着の航空機で帰国した。帰国時は報道陣の問いかけに応じず、足早に空港を後にした。関係者によると東京都内の病院に入院し、詳細な検査を進める。東京五輪の金メダル候補筆頭は慎重に、復活に向けて歩を進める。

 薄い青色のサングラスに黒い帽子をかぶり、マスク姿。桃田はしっかりとした足取りで、成田空港到着ロビーに現れた。眉間には、事故で受けた裂傷の縫い跡がくっきりと刻まれていた。

 ロビーには300人を超える一般客と、約250人の報道陣が詰めかけた。「大丈夫ですか?」。報道陣の問いかけに少し視線を投げかけただけで、言葉は発しなかった。迎えに来ていた日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事(66)が手を差し伸べると、ガッチリ握手。多くの関係者が付き添う“厳戒態勢”の中、関係者口へ入った。一般客は大きな歓声などを上げることはなく、心配そうに桃田の姿を見守っていた。

 NTT東日本の須賀隆弘監督は「本当に無事で良かった。ご心配をお掛けしました。温かく見守っていただければと思います」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。同じく事故に遭った専属トレーナーの森本哲史氏は右腕を三角巾でつった状態、日本ユニシスの平山優監督は車いすに乗って同便で帰国。協会は事故直後であることを考慮し、この日は桃田の会見を見送った。

 桃田は14日夜にクアラルンプール近郊の病院を退院し、クアラルンプール国際空港近くのホテルに宿泊。15日午前に同空港に姿を現した際も無言で、カートに乗ってVIPラウンジまで誘導されていた。

 桃田らは13日午前5時頃、高速道路で事故に遭った。治療を担当した医師は「1カ月ほどで練習に戻れる」としたが、現地ではコンピューター断層撮影装置(CT)検査しか受けなかった。関係者によると、帰国後は東京都内の病院に直行して入院し、精密検査を受けるという。

 当面は治療と静養に専念し、練習再開の時期を見極めていく。桃田は世界ランキング1位で、東京五輪出場は既に確実。2位の周天成(台湾)とは3万ポイント近い差がある。五輪は例年、世界1位の選手が第1シードに入り、決勝までの戦いを優位に運べる傾向にある。

 バドミントン協会関係者は「復帰を目指している全英オープンに出られれば、(ランキングに)大きな影響はないだろう」と分析する。優勝すれば1万2000ポイントが加算される格付けの高い全英オープン(3月11日開幕、バーミンガム)に出場できるかは、東京五輪に向けたひとつのポイントになりそうだ。

 東京五輪のバドミントン競技は開会式翌日の7月25日から予選が始まる。桃田は顔に傷を負ったことにも心を痛めているといい、体はもちろん精神面のケアも必要。あくまでも慎重に、完全復活の道を進む。