桃田賢斗、死傷事故から帰国…眉間などに痛々しい裂傷 3月中旬の実戦復帰目指す

引用元:スポーツ報知
桃田賢斗、死傷事故から帰国…眉間などに痛々しい裂傷 3月中旬の実戦復帰目指す

 マレーシア遠征中の交通事故で負傷したバドミントン男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が15日、クアラルンプールから帰国した。居合わせた一般客約350人、テレビカメラ30台を含む報道陣約150人が見守る中、取材対応はなく、しっかりとした足取りで成田空港を後にした。黒いキャップにサングラス、マスク姿で、眉間に5センチ弱、右顎にも痛々しい裂傷があった。関係者によると帰国後すぐに検査入院。3月中旬の全英オープン(バーミンガム)での実戦復帰を目指していく。

 落ち着いた様子の桃田は、しっかりとした足取りで日本に戻ってきた。午後5時7分に帰国便が到着。50分後に到着ロビーへ姿を見せると、待ち受けた約500人に会釈しながら、無数のフラッシュの中、ゆっくりと歩を進めた。黒いキャップに、腫れた目の周囲を隠すような薄い青のサングラス、裂傷した唇を覆うマスクを着用。それでも、眉間には約5センチ弱の傷と縫合の痕、右顎裏にも裂傷が見えた。

 人垣からは「桃田選手、大丈夫ですか」との声がかけられた。問いかけに応じることはなかったが、出迎えた日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事(66)と握手を交わして肩をたたかれると、うなずくようなしぐさ。その後は無言で関係者口へ。14日に銭谷氏が「ボクサーの試合後のような(顔が)腫れ上がった状態」と話したように生々しい傷痕が、事故の衝撃を物語っていた。

 13日午前5時ごろ、帰国のため空港に向かっていたワゴン車が高速道路で大型トラックに追突。運転手が死亡、桃田は顎部と眉間部、唇の顔面3か所の裂傷と全身打撲、同乗の平山優コーチは右すねの裂傷と全身打撲、森本哲史トレーナーは右前腕部の骨折と脳しんとう、全身打撲と診断された。この日、右すねの手術を受けた平山コーチは車いす、森本トレーナーは右腕をつりながら歩いて帰国した。

 桃田らは14日の夜にクアラルンプール近郊の病院を退院。空港近くのホテルに泊まり、この日午前の飛行機で帰国の途に就いた。約6時間30分のフライト。心配そうな表情で待ち受けた所属のNTT東日本・須賀隆弘監督(48)は「ご心配をおかけしました。温かく見守っていただければ」と頭を下げた。

 関係者によると、桃田は帰国してすぐに都内の病院に検査入院。16日も引き続き精密検査を行い状態の把握に努めるという。治療したマレーシアの医師は「1か月ほどで練習に戻れ、今後の競技に影響はないだろう」との見解を示しており、大会復帰は3月に行われる全英オープン(バーミンガム)が目標となる。体の傷が回復し、心の傷も癒えてこその完全復活。世界王者たる強さを取り戻すべく、まずはゆっくりと心身を休める。(太田 涼)

 ◆ハネタク「自分も気を付けないと」

 ○…東京五輪のカヌー・スラローム男子カナディアンシングル日本代表の羽根田卓也(32)=ミキハウス=が15日、都内でパナソニックの新製品発表会に出席し、桃田が事故に遭ったことについて「絶好調の選手をこんな悲劇が襲うことがあるんだ」と驚いた様子だった。「回復を祈ると同時に自分もあらゆるリスクに気をつけないといけない」と話した。

 ◆桃田の交通事故の経過

 ▼12日 五輪イヤー国際大会初戦のマレーシア・マスターズ(クアラルンプール)で優勝。

 ▼13日早朝 宿舎からクアラルンプール空港へ向かう高速道路で、ワゴン車が前方に停車していた大型トラックに追突。顔面3か所の裂傷と全身に打撲を負った。運転手は死亡。平山優コーチは右すねの裂傷と全身打撲、森本哲史トレーナーは右前腕部の骨折と脳しんとう、全身打撲。

 ▼13日夜 マレーシアのバドミントン協会が「順調に回復している。ただ経過観察のため今夜は退院できない」と発表。

 ▼14日 日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事が都内で会見し、桃田が3月の全英オープン(11~15日、バーミンガム)を復帰目標とすることを明かした。現地での担当医も約1か月で練習再開できるとの見通しを説明。

 ▼14日夜 クアラルンプール近郊の病院を退院し、空港近くのホテルに宿泊。

 ▼15日 午前に空港から帰国の途に就き、日本時間午後5時7分に成田空港に到着。同57分にロビーに姿を見せる。 報知新聞社