桃田、裂傷手術後に冗談「ハンサムに戻りますかね」事故当日の詳細明らかに/バドミントン

 遠征先のマレーシアで13日早朝に交通事故に巻き込まれて負傷したバドミントン男子シングルス世界ランキング1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=について、日本代表の朴柱奉(パク・ジュボン)ヘッドコーチ(HC、55)が20日、東京都内で取材に応じ、状態次第では2月3日に始まる代表合宿に参加する可能性を示唆した。事故直後の様子も説明し、桃田は3カ所の裂傷を縫う手術後「ハンサムに戻りますかね」と冗談を言う余裕もあったという。

 朴HCは男子シングルスの中西洋介コーチ(40)とともに東京都内で取材に応じ、事故当時の状況を明かした。

 「大きなアクシデントの中、ちょっとだけのケガ。本当によかった」

 朴HCらが高速道路の現場に到着したのは、事故発生から約1時間後の13日午前6時ごろ。救助活動を手伝った。血を流していた桃田は路肩に座り込み、呆然(ぼうぜん)とした表情を浮かべていたという。中西コーチは「放心状態というか、話をできる雰囲気じゃなかった」と振り返った。

 そのときの桃田の姿を見た朴HCは「自分も涙が出てきた」という。周りにタオルがなかったため自身の上着をかけた。その際のやりとりで「私はまだバドミントンは大丈夫ですか?」と尋ねられ「大丈夫」と返答したことを明かした。桃田は救急車で事故現場から病院に運ばれた。3カ所の裂傷を縫う手術後、落ち着きを取り戻し、周囲に「ハンサムに戻りますかね」と冗談を言う余裕をみせたという。

 桃田は15日に帰国後、東京都内の病院に検査入院。17日には身体に異常なしとの診断結果を受け退院した。関係者によるとこの日、顔の3カ所の縫い傷の抜糸を済ませた。今後は静養に努めるが、朴HCは状態次第では東京都内で、2月3日に始まるアジア団体選手権(マニラ)に向けた代表合宿に参加する可能性を示唆した。

 桃田は同選手権に出場しないが、朴HCは「軽く動きができれば。メンタル面で休みたいなら休むかもしれない」と慎重に状態を見極める予定だ。ワールドツアーで格付けが高い3月中旬の全英オープン(バーミンガム)で実戦復帰を目指す見通しで「本人もやりたいと思う」と気持ちを推し量った。

 東京五輪出場を確実にし、金メダル最有力の桃田。奇跡の金メダルロードを着実に進む。