桃田賢斗、アクシデントに負けない 抜群の実績、絶対王者に―東京カウントダウン

引用元:時事通信
桃田賢斗、アクシデントに負けない 抜群の実績、絶対王者に―東京カウントダウン

 躍進著しいバドミントンの日本勢にあって、男子シングルスの桃田賢斗(25)=NTT東日本=の充実ぶりは飛び抜けている。五輪を前にした2019年の活躍は、過去に例がないほど際立った。

 3月の全英オープンを制し、世界選手権は圧勝で2連覇を果たすなど、史上最多の年間11勝。世界ランキング1位の座は揺るぎなく、ポイントで争う五輪代表レースを終える4カ月以上も前に出場権を確実にした。年明けの1月に遠征先のマレーシアで交通事故に遭ったのは誤算だったが、幸いにも軽傷。精神面の影響に懸念は残るが、順調ならば3月にコートでの姿が見られそうだ。

 最近のプレー内容には死角が見当たらない。軽やかなフットワークと堅実なレシーブ、繊細なタッチを強みにラリー戦で優位に立つ。ライバルがスピードを上げラリーを早く終わらせる戦い方で挑んできても、持久力と攻撃力を高めて対抗。相手が先にスタミナ切れを起こす。日本代表の舛田圭太コーチは「(相手が)桃田君が崩れるのを待つしかない」状態と分析する。

 リオデジャネイロ五輪を控えた16年に違法賭博関与が発覚し、代表切符を逃した。謹慎を経て再起し、「感謝の気持ちを忘れない」「初心を忘れずプレーを」が決まり文句。努めて謙虚に振る舞うが、実績が伴うにつれて、自信に支えられた風格が漂うようになった。

 盤石の戦いぶりに見えても「レジェンドと言われるような選手にはまだまだ遠い。追い付けるように頑張っていきたい」と向上心を持ち続ける。下を向いて耐えていた過去と決別し、胸を張って戦える初の五輪。交通事故というアクシデントを乗り越え、今夏に主役となる覚悟はできている。