桃田賢斗、右目回復「98%」 五輪延期決定後初の会見/バドミントン

 バドミントン男子シングルスで世界ランキング1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が26日、新型コロナウイルス感染拡大による東京五輪の延期決定後、初めてオンラインで取材に応じた。延期を受け「動揺した」と心境を明かしたが、1月に遠征先のマレーシアで交通事故に遭い、眼窩底骨折で手術を受けた右目は順調に回復していることを報告。出場を確実にしている東京五輪での金メダル獲得を改めて目標に掲げた。

 画面越しの桃田には、一点の曇りもなかった。東京・調布市の体育館で所属先のユニホームに身を包み、1時間、オンラインでの取材に応じた。モチベーションを保つのに苦労する選手が多いなか、スッキリした表情で東京五輪への思いを口にした。

 「(3月に延期を聞いて)正直、動揺した部分はあったが、変わらず周りの人たちは自分の体を気にしながらサポートしてくれている。五輪への気持ちは全く変わってない。サポートしてくれている方に恩返しするためにも、五輪に向けて頑張りたい」

 東京五輪の金メダルへ突き進んでいた1月、遠征先のマレーシアで交通事故に巻き込まれた。眉間、唇、顎の裂傷と全身打撲とされたが、練習再開時にシャトルが二重に見える症状に悩まされ、その後の検査で眼窩底骨折が判明した。2月8日に手術を受けて以降、実戦復帰の見通しが立たず、金メダルへ暗雲が垂れ込める中、3月24日に五輪の延期が決定。少なからず動揺はあったものの、一方で準備期間が増えた。

 新型コロナウイルスの影響で練習の時間や方法などに制限はあるが、現在は試合形式の練習ができるまでに回復。「目の状態も98%ぐらい前と同じように見えている。感覚的にはゲーム練習が普通にできるくらいまでのレベルには戻ってきている。気持ちの面も含めて100%の状態で取り組めている」。試合勘などに不安を抱いていることも明かしたが、時間ができたことで基礎練習に時間を割くなど、さらなるレベルアップに余念がない。

 大会の見通しは立っていないが、毎日の練習を大切にする。「起きてしまったことはしようがないし、あれ(事故)があったから駄目なんだって言い訳もしたくない。今も変わらず、そこ(金メダル)の目標に向かって毎日毎日、頑張っていきたい」。1年延期を力に変え、日々、精進する。(角かずみ)