桃田賢斗、帰国途中に悲劇…交通事故に遭い顔裂傷で大量出血

引用元:スポーツ報知

 バドミントンの男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗(25)=NTT東日本=が13日早朝、マレーシア・クアラルンプール近郊で交通事故に遭い、負傷した。乗っていたワゴン車が高速道路で前を走る大型トラックに追突。日本協会によると顎や唇、眉間に裂傷を負った。運転していたマレーシア人は死亡。20年東京五輪出場を確実にし、金メダルの最有力候補に挙げられているエースが、五輪イヤーに思わぬ不運に見舞われた。

 東京五輪の金メダルに最も近いエースが、アクシデントに見舞われた。現地の消防当局などによると13日午前5時ごろ、桃田ら日本人3人を乗せたワゴン車が、宿舎からクアラルンプール空港へ高速道路を移動中に追突事故を起こした。ワゴン車の運転席はトラックの荷台にめり込むように潰れ、運転手(性別不明)は死亡。桃田は命に別条なく自力歩行や会話も可能だが、事故後は顎や唇、眉間の裂傷で大量に出血。全身に痛みも訴えている。マレーシアの警察当局などによると鼻を骨折したというが、日本バドミントン協会によると骨折の情報は入っていない。

 桃田は12日まで開催されたマレーシア・マスターズで優勝。調整のため、次戦のインドネシア・マスターズ(14~19日)を欠場し帰国する途中だった。ワゴン車に乗っていた日本人は桃田ら3人で、平山優コーチは右すね裂傷や歯の損傷、森本哲史トレーナーは右前腕を骨折し、脳しんとうの症状もある。ズルキフリ保健相は「CT検査などの結果(桃田に)深刻なけがはなかったと聞いている」と述べた。マレーシアのバドミントン協会は13日夜、桃田らについて「順調に回復している。ただ経過観察のため今夜は退院できない」と発表した。

 五輪まで約半年。桃田は昨年12月のワールドツアーファイナル(中国)を制し、今年4月末の五輪レース終了を待たずに出場を確実にした。仮に今後の国際大会を全て欠場しても五輪切符は手に入る。ただ、最高の状態で本大会に臨めるかは別の話だ。数センチ単位でシャトルをコントロールする繊細さと、縦6・7メートル、横5・1メートルのコートを走り回るスタミナが要求されるだけに、負傷の影響は未知数。運転手が亡くなったことで精神的なショックも心配される。

 世界選手権2連覇中のスター選手を襲った悲劇に、世界連盟(BWF)も声明を発表。トーマス・ルンド事務総長は「彼らに必要なサポートが全て尽くされていることを保証する」などと述べた。5月には3大会ぶりの優勝を目指す国別男子団体の世界一決定戦、トマス杯(デンマーク)も控える。五輪金メダルへ、まずは心と体を十分に休めて再起に臨むしかない。

 ◆桃田賢斗の歩み

 ▽15年 8月の世界選手権で銅メダルに輝き、12月のスーパーシリーズファイナルでは、日本勢初優勝。

 ▽16年 世界ランキングで自己最高の2位となった4月に、違法賭博問題への関与が発覚。代表指定解除と、無期限出場停止処分を受けてリオ五輪出場が消滅。

 ▽17年 5月に出場停止処分が解除され、同月の日本ランキングサーキットで約1年2か月ぶり実戦復帰。

 ▽18年 5月のトマス杯(タイ)準優勝に貢献。8月の世界選手権(中国)では日本勢初V。アジア大会は団体銅メダル。9月に日本男子初の世界ランク1位。

 ▽19年 8月の世界選手権(スイス)で2連覇を達成。12月のワールドツアーファイナルを制すなど、国際大会で年間歴代最多となる11勝をマーク。20年東京五輪切符も確実にした。 報知新聞社