【陣内貴美子の目】桃田賢斗、手術から3週間で練習復帰 五輪金ぶれない

引用元:スポーツ報知
【陣内貴美子の目】桃田賢斗、手術から3週間で練習復帰 五輪金ぶれない

 バドミントンの男子シングルス世界ランク1位で、右眼窩(か)底骨折からの再起を目指す桃田賢斗(25)=NTT東日本=が29日、都内で行われたチーム練習に復帰した。2月8日に骨折の手術を受けて、ちょうど3週間でのスピード復帰。所属先によれば全体練習メニューをこなした。スポーツ報知で評論を担当する92年バルセロナ五輪女子ダブルス代表の陣内貴美子氏(55)が、早期練習再開を果たした意義と、金メダルが有力視される20年東京五輪への道筋を語った。

 桃田はこの日午前、チーム練習に合流。報道陣の前に姿は見せなかったが、手術後、全治3か月と診断された中で早期の練習再開を果たした。陣内氏は、桃田の心理面への好影響が大きいとみる。

 「3か月と言われていたので、本人が一番ホッとしたと思います。今日の練習では、いろいろ想像していた中で実際どれくらい動けるか確認できたでしょう。今までの状態を100としたら、まだ10くらいかもしれない。翌日は筋肉痛が出るかもしれません。でも、そうやって久しぶりに動けた喜びを実感すれば必ず前向きな気持ちになれると思います」

 担当者によれば、眼窩底骨折に伴い、シャトルが二重に見える症状(複視)は完治していない。東京五輪切符は既に確実としている以上、焦りが最大の敵だ。

 「選手にとって『ゆっくり』とか『焦らずに』というのが一番難しいんです。ただ、無理をして他の場所をけがするリスクは避けなければいけません。頑張りすぎて、他の部位にしわ寄せがいかないように見極めないといけない。自分を客観視することが大事です。桃田選手ならできますし、だからこそ世界ランク1位に居続けられるのです」

 2月中に練習再開できたことで、国・地域別対抗戦のトマス杯(5月、デンマーク)や、格付けが高いインドネシア・オープン(6月)を経て五輪へ向かう道筋も現実味を増してきた。

 「五輪の前哨戦として、強豪選手が参戦するトマス杯やインドネシア・オープンを経験できれば、自分の状態がどれほど戻ったかを確認することができます。五輪が“ぶっつけ本番”でないのは大きい。他選手も、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でドイツ・オープン(3月)が中止になるなど、調整が難しい状況。焦る必要は全くありません」

 桃田には、所属事務所が同じサッカー男子の香川真司らが発起人となって応援メッセージが集められるなど、競技の垣根を越えた支えの声が届いている。

 「一人では厳しくても、これだけの応援があれば必ず乗り越えられる。改めて東京五輪の目標はぶれなくなったと思いますね。より強く、金メダルを取りたいと思ってくれていると信じています」 報知新聞社