使い道を明確に…バド奥原の問題提起で露呈した「スポーツ界の悪しき慣習」

使い道を明確に…バド奥原の問題提起で露呈した「スポーツ界の悪しき慣習」

 その主張はもっともだ。

 バドミントン女子シングルスで2016年リオ五輪銅メダルの奥原希望(25)が5月17日、ツイッターで「(ツアー賞金の)10%を協会に納めることになっている」と明かし、「そろそろその使い道を選手は知る権利があるのでは? また上限を決めてもいいのではないでしょうか? 皆さんどう思いますか?」と問題提起した。

 奥原は賞金の一部を取られることに文句があるのではない。使い道を明確にして欲しいと言ってるのだ。

 これに対し、日本バドミントン協会の銭谷欽治専務理事は30日、「我々としては10%を公益財団法人として外部監査法人にも監査を受け、正当な使い方をしている。日本代表にフィードバックしている。一部はジュニアの指導の強化資金としてあてがっている。今後は合宿などで個別対応でも丁寧な説明をしていこうと考えている」と語ったが、この説明で選手は納得するのだろうか。スポーツジャーナリストの津田俊樹氏(国士舘大政経学部非常勤講師)が言う。

「協会幹部は監査を受けているというが、それはお金の使い道を知らせない理由にはなりません。やましいことがないというなら、使途の詳細を報告すればいいこと。『きちんと金を使っている。選手がつべこべ言うな』と思っているのなら大きな間違いです。バドミントンは大会の賞金も高くなってきたが、協会のあり方というか、幹部の頭はその速度についていけていない印象がある」

 今は競技団体などにさまざまな助成金が出ており、「監視」の目も厳しくなっている。それでも06年には日本スケート連盟が取引先に水増し請求させた不正経理や利益誘導が発覚。13年は日本フェンシング協会が滞在費の水増し請求や全日本柔道連盟の指導者向けの助成金の不正受給(27人総額3620万円)が第三者委員会により公表された。

 18年には日本ボクシング連盟が五輪強化選手に支給された助成金を不適切使用などを指摘され会長が辞任。全日本テコンドー協会は補助金の一部が金原会長に渡っていたことが判明するなど、この手の話は枚挙にいとまがない。

「多くの競技団体は一部の幹部が組織を牛耳り、運営もドンブリ勘定でやってきた悪しき慣習が残っている。人からお金を集めて、どう使ったかを報告しないで済ませていること自体、おかしな話。それに気がついていない人に組織を動かす資格はない」(前出の津田氏)

 日本のバドミントンは世界でトップレベルでも、統括団体は三流ということか。