<2020センバツ交流試合>21世紀枠推薦校・木曽青峰に19歳部長 長野県内最年少 熱意、監督に買われ

<2020センバツ交流試合>21世紀枠推薦校・木曽青峰に19歳部長 長野県内最年少 熱意、監督に買われ

 昨秋、センバツの「21世紀枠」県推薦校に選出された木曽青峰(長野県木曽町)に4月、宮下虹夢(にじむ)さん(19)が県内最年少の野球部長に就任した。2年前まで飯田OIDE長姫で投手を務めており、木曽青峰の森大樹監督(30)は「何も言わなくてもボール拭きを子どもたちと一緒にしたり、適切に生徒を叱ることもできる」と指導者としての資質を高く評価する。

【写真特集】明治神宮大会で3アーチの天理・川西

 中3から高校野球の指導者を目指しており、昨春に工業科の実習助手として同校に赴任。ただ「生徒との距離が近過ぎて指導ができない」と野球部は希望せず、バドミントン部の顧問を務めた。だが、学校生活の中で野球部員らと接するうちに野球への思いを抑え切れなくなった。熱意を知った森監督からの声掛けもあり、今春から野球部長となった。

 練習では打撃投手やノッカーを精力的にこなし、監督には話しづらい部員の悩みの相談にも乗る。「逆に年齢が近いのが良かったのかな、と今では思っています」と笑う。宮下部長と同じ左腕の主戦、神田凌星投手(3年)は「先生自身の苦しんだ経験から的確なアドバイスをくれます」と信頼を寄せる。

 指導者を志した裏には、腐りかけていた自分を支えてくれた恩師の存在があった。

 小2から投手一筋で野球に取り組んだが、飯田市立鼎中に進む直前に肘を故障した。思うようにプレーができないもどかしさと、同級生との差が開く焦りから、野球部の退部を考えるようになった。

 そんな時に救いの手を差し伸べてくれたのが、当時の担任で後に野球部長にもなった宮田雄教諭(34)=現・屋代高付属中=だった。苦しい胸の内を毎日のように聞いてくれた。「誰もが通る道。そこで負けてしまうと人としても成長できないし、打ち勝ってこそ上のレベルに行ける」

 恩師の言葉に励まされ、懸命に野球に取り組んだ。その後も肘が完治することはなく、高校で選手生活にピリオドを打ったが、中高と主戦投手として活躍する機会を得られた。

 尊敬する恩師とは今でもLINE(ライン)で連絡を取り合う。木曽青峰への赴任や野球部長就任が決まった時も真っ先に連絡して「試合を見に行くから」と激励された。それだけに、県高野連独自大会の無観客開催は「すごく残念です」。

 独自大会の開幕を目前にしても、新型コロナウイルスや大雨の影響で十分な練習時間は確保できていない。それでも、自分の教え子たちに悔いだけは残してほしくない。「選手たちは一日一日を無駄にせず、一生懸命練習してくれた。私たち指導者が、それを少しでも勝ちにつなげてあげたい」【皆川真仁】