世界1位を経験してもピリピリ感ゼロでゆるキャラみたい バドミントン山口茜の真骨頂とは?

引用元:Number Web
世界1位を経験してもピリピリ感ゼロでゆるキャラみたい バドミントン山口茜の真骨頂とは?

 3月中旬の全英オープン出場後、新型コロナウイルスの影響でワールドツアーなど国際大会が相次いで延期、中止となっていたが、9月上旬、味の素ナショナルトレーニングセンターで合宿が行われ、約5カ月半ぶりにバドミントン日本代表の活動がスタートした。

【写真】まるでゆるキャラ? 山口茜の愛されるプレーぶり、奥原希望とのリオ五輪日本人対決も(全5枚)

「久しぶりに集合して、トップの選手ばかりのなかで質やレベルの高い練習ができて、うれしい気持ちとこれから合宿からスタートして、大会なども再開されていくのかなと思うと、身が引き締まる思いです」

 バドミントン女子シングルス世界ランキング3位の山口茜は久しぶりの日本代表合宿に充実の表情を見せていた。

 例年であれば、ワールドツアー真っ只中の時期。とくに東京オリンピック開催予定だった今年は、例年以上に多忙を極めているはずだった。

トリッキーなプレー、存在感は“ゆるキャラ”

 2013年に史上最年少の15歳で日本代表に選ばれ、2016年のリオ五輪に出場してベスト8入りした山口は、2018年にバドミントン女子シングルスで日本人女子初となる世界ランキング1位を達成。3つ年上の奥原希望とともに日本の女子シングルスをけん引し、世界トップランカーとして最前線で戦ってきた。

 その魅力はやはり何といってもプレースタイルにある。

 156cmと小柄だが、多彩なショットと軽快なフットワークで相手の裏をかいたかと思えば、力強いジャンピングスマッシュを決めるが、その驚異的な跳躍力やバネ、トリッキーなプレーに多くのファンが魅了されてきた。世界トップランカーだが、変に張りつめたようなピリピリ感は皆無で、まるでゆるキャラのようにチームメイトや多くの人から愛される存在になっている。

怪我に苦しんだ2019年

 そんな彼女が五輪に向け戦った2019年は、浮き沈みの激しい1年となった。

 たとえば、昨年7月のインドネシアオープンとジャパンオープンでは、格付けの高い大会で2週連続優勝。スピードの変化や駆け引き、フットワークなどで相手を上回るようなイメージ通りのプレーには自身も大きな手応えも掴んでいた。

 しかし、その後は腰痛や右ふくらはぎ痛の怪我に苦しんだ。満足な練習ができず、調子が上がらない時期を経験した。

「体の調子が良すぎて怪我につながったのか、疲労が蓄積したのか、それとも突発的なものだったのか、怪我の原因がよくわからなかったんですが、(インドネシアOPとジャパンOPの)2大会ですごく調子が良かった分、感覚的なものやコンディションをキープできなかったことがとても残念で。2週連続で良いプレーが出来たことは自分の中でも成長の1つだと捉えていたので、怪我をしてしまい少しもったいないことをしてしまったなと」

 その後、世界選手権・中国オープンではプレーの精彩を欠き、まさかの初戦敗退を喫した。

「いいイメージが残っていたので、“もっと速く動けるんじゃないか”と、気持ち的に空回りして突っ込みすぎてしまうところがありました。実際、体の状態やフットワークのスピードはそんなに悪くはなかったと思うのですが、“もっとできる”という気持ちが強すぎてしまい、結果的にあまりいいプレーにはつながっていなかったと思います」次ページは:東京五輪の出場権はほぼ手中にある

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