胸を打たれたアスリートの行動 トレーナー・中野ジェームズ修一がコロナ禍に願うこと

引用元:THE ANSWER
胸を打たれたアスリートの行動 トレーナー・中野ジェームズ修一がコロナ禍に願うこと

 忙しい大人向けの健康術を指南する「THE ANSWER」の連載「30代からでも変われる! 中野式カラダ改造計画」。多くのアスリートを手掛けるフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏がビジネスパーソン向けの健康増進や体作りのアドバイスを送る。今回は番外編として、コロナ禍でアスリートをサポートするトレーナーとしての想いを明かす。

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 まだまだ予断を許さない状況は続いていますが、一時期、中断されていたスポーツの試合や大会も、プロスポーツを中心に無観客や観客数を制限しながら開催されるようになりました。

 コロナ禍により「ゼロ」の状況に追い込まれた多くのアスリートたちも、皆さんと同じように苦しんでいました。練習ができない、チームメートと会えない、それどころか試合や大会が開催されるのかどうかさえわからない。「自分たちは何もできない」という状況を突き付けられ、つらい日々だったと思います。

 そんななか、競技を続けられることを楽しもう、と思考を切り替え、通常時とは異なることに取り組む選手もたくさん出てきました。例えば、自宅でのトレーニング動画を配信したり、少人数での合宿や練習を組んだり、あるいは今まで一緒に練習をしたことのない選手が集まってトレーニングを行ったり。当たり前に続けてきたルーティンがガタガタと崩れるなか、「今、何をすればいいのか?」を自身で考え、行動したアスリートの姿を、直接、あるいはSNSを通じてみるたび、胸を打たれ、感心したものです。

 苦しい状況下でも前向きにハードなトレーニングに取り組む選手たちは、SNSなどを通して発信するコメントもポジティブです。そういった選手は人にパワーを与えられる力がある。彼らの前向きな発言や行動をみるたびに力をもらった、励まされたというスポーツファンも多いのではないでしょうか。

 私がみているアスリートたちのなかには、今もなお、大会、試合の開催が決まっていない人もいます。それでも、しばらく続いていたオンラインのトレーニングから対面に切り替え、ほとんどの選手が通常通りのレベルまでトレーニングの内容を戻してきました。

 そして、多少のブランクはあったものの、最も厳しい時期に、思考を転換し、新たなことに取り組んでいた選手たちほど、今、心身ともにいい状態に戻ってきていると感じます。次ページは:トレーナーとしても葛藤「一瞬も躊躇しなかった、とはいえません」

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