【担当記者の目】桃田賢斗「平常心」から「熱い思い」へ

引用元:スポーツ報知
【担当記者の目】桃田賢斗「平常心」から「熱い思い」へ

 バドミントンの男子シングルス世界ランク1位で、今年1月にマレーシア遠征中の交通事故で右眼窩(か)底骨折を負った桃田賢斗(25)=NTT東日本=が6日、都内で会見し、20年東京五輪へ「金メダルを狙っていきたい」と宣言した。事故後、公の場で話すのは初めて。担当記者が独自の視点で胸中に迫った。

 桃田の五輪観は、明らかに変わった。昨年5月のインタビューで五輪について尋ねると、金メダルどころか「(目前の)全試合を大事にプレーして、その先に五輪があればいいかな、というくらい」と返ってきた。目前の一戦に集中し、五輪へ平常心を保つ考え。ただ、今は応援や期待に応える熱い思いが、桃田を突き動かしている。五輪イヤーの交通事故は確かに痛いが、得がたい支えを実感できたのは間違いなく追い風だろう。

 桃田の大目標は、世界中で応援される「レジェンド」級の選手になること。世界選手権2連覇しても、地元・中国で絶大な人気を誇る五輪2連覇の林丹ら「レジェンド」級に並ぶには「まだまだ」と謙虚だった。東京五輪。大きな困難に勝ち、期待に応えて金メダルを達成すれば、世界中が心を打たれる。誰もが応援する理想の選手像にも、また一歩近づけるはずだ。(バドミントン担当・細野 友司) 報知新聞社