広島「1勤1休」、楽天「厳戒態勢」は不公平?……プロ野球“練習格差”に選手から不安の声

広島「1勤1休」、楽天「厳戒態勢」は不公平?……プロ野球“練習格差”に選手から不安の声

 コロナ禍で開幕時期の見通しが立たないプロ野球。選手たちは「その日」に向けて調整を続けるが、そこに格差が生まれている。

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 4月7日の7都府県に対する「緊急事態宣言」発令後も、12球団で唯一、全体練習を継続していたのが広島だ。

「広島県は宣言の対象外だったので、一軍の2班を午前と午後に振り分け、『3勤1休』で粛々と練習していた。他球団の選手からは『不公平だ。NPBは一律の練習基準を決めるべき』との声も聞こえました」(スポーツ紙デスク)

 16日に宣言の対象が全国に拡大されると、「1勤1休」のペースに変更。ただ、マツダスタジアム内の施設利用も消毒を徹底しつつ、制限はかけていない。

 阪神は藤浪晋太郎投手ら3人の感染者が出たことに伴い、3月26日からチームとしての活動を全休止。4月15日からようやく甲子園と鳴尾浜球場に分かれて自主練習を再開した。

 ソフトバンクも3月末から無期限で活動を休止していたが、選手会側が調整の場を熱望したことを受け、4月9日から「3勤1休」で自主練習を始めている。

 一方、最も厳戒態勢で臨んでいるのが楽天だ。3月30日にチーム活動が期間未定で休止。球団施設の利用も禁止となり、選手は自宅待機が続いている。

 楽天のある投手は「自宅でもできるトレーニングなどは続けていますが、限界はあります。こんなに強度の軽い練習が続いているのは、オフの期間でもあり得ません。野球を始めてからでも初の経験です」と焦りをにじませ、こう続ける。

「キャッチボールをしようにも相手がいない。仕方なく近くの公園とか駐車場まで知人に来てもらってますが、強く投げられていないのでどれだけ状態が落ちているか……。戻すのには相当な時間がかかりますね」

なぜ楽天はこれほど厳しいのか
 野手も同様に悩んでおり、

「バッティングセンターに通ったり、自宅でカーテンに向けてバドミントンの羽根をトス打撃の要領で打ったりしている。みんな動くものを打つ練習に相当飢えています」(前出・デスク)

 なぜ楽天はこれほど厳しいのか。スポーツ紙記者は「三木谷浩史オーナーの意向が強いようだ」と明かす。

「三木谷さんは1月下旬から楽天社内に対策本部を立ち上げ、SNSでも首相を名指しで『今すぐ緊急事態宣言を』と訴えていた。だからこそ球団にも対策を徹底させている。一方、広島の松田元オーナーはさほど制限していない。各球団ともオーナーの意向が現場に影響を与えている」(同前)

 NPBは17日、交流戦の中止を決定。最短でも6月中旬以降の開幕を目指すが、選手の準備期間も考慮に入れる必要がありそうだ。 「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年4月30日号